はてなブログ10周年特別お題「私が◯◯にハマる10の理由」
先日、ダイヤモンドコレクターさんの話題が出たので、折角だから私もダイヤモンド愛を語りたいと思います。
真珠ももちろん好きなのですが、ダイヤモンドは真珠と同じくらいに思い入れのある宝石。
ダイヤモンドを肴に、お酒飲んでも良いと思うくらいです。
ダイヤモンドをおかずに、白ご飯だって食べて見せます。
というのは冗談ですが。
気づいたら、何故か大好きだったダイヤモンド。
今回は自分がなぜダイヤモンド好きになったのかを見つめ直すためにも、ダイヤモンドを好きな理由について考えていきたいと思います。
- 1・美しいから ①輝き
- 2・美しいから ②カット
- 3・美しいから ③カラー
- 4・美しいから ④内包物・クラリティ
- 5・他の宝石や真珠との相性が良い
- 6・類似石がいっぱいあるから
- 7・情報収集がしやすいから
- 8・お仕事だから
- 9・元ダイヤモンドグレーダーだから
- 10・理屈抜きで、好き
- 1つの決め事
1・美しいから ①輝き
第一に挙げるのは、やっぱりこれですね。
肉眼で見ても、ルーペで見ても、美しいその輝き。
宝石の輝きには、3種類があります。
- ファイア:七色に輝く煌めき
- ブリリアンス:白色に輝く煌めき
- シンチレーション:観察者が動くことによってみられる煌めき
随分雑な解説ですが、「輝き」とは上記のように分類します。
これらの輝きの分類は、ダイヤモンドに限らず、どんな宝石にもあるものです。
そしてそれぞれの輝きの度合いも、宝石ごとに様々。
たとえば、ダイヤモンドよりもファイア(七色の輝き)が強い宝石もあります。
有名なところでは、スファレライトという宝石がそうですね。
分散率という数値がダイヤモンドの4倍近くあり、他の特性とも相まって、ダイヤよりもずっと七色の煌めきが強くなります。
それは見事なファイアなので、スファレライトも確かに美しい。
でも、やっぱり輝きを総合的に見た時、一番バランスが良いと思うのは、ダイヤモンドなんです。
2・美しいから ②カット
ダイヤモンドの輝きを高めるのは、如何に正確なカットを施すか、にかかっています。
各面(ファセット)の大きさ、ファセット同士の微妙な角度、これがずれるとダイヤモンドは美しく輝きません。
でも、カットで注目するべき点はそこだけではありません。
その種類の多さにも、目を見張るものがあります。
ダイヤモンドのカットって、どれくらいの種類があるかご存知ですか?
最も一般的なラウンドブリリアントカットに始まり、オーバル、ペア、マーキース、クッション、ハート、トライアングル、カイト、スクエア、プリンセス、テーパー、オクタゴン、ブリオレット…………などなど、挙げればきりがない程存在します。
これら一般的なカットの名称以外にも、アショカ、リリー、アッシャー、さくらなど、各社が作ったオリジナルカットも多数。
更に、名前は付いていないけれど、馬の形にカットしたり、アルファベットの形にカットしたりと、とってもユニークなカットも存在します。
ダイヤモンはカットの種類を調べ上げるだけでも、十分に楽しめます。
3・美しいから ③カラー
ダイヤモンドで色と言えば、カラーダイヤモンド。
七色+白と黒。どんな色も存在します。
この美しい色たちは、単に見て楽しむだけのものではありません。
ダイヤモンドの「色付いている原因」を探ることが、好きです。
何故、炭素の結晶がそのような色になるのか。
着色の原因(色因)を調べだすと、ダイヤモンドの結晶構造の話とか、不純物の話とか、それはもうあれやこれやの論文やデータが出てきます。
その上、カラーには科学的な処理技術も沢山あります。
高温高圧法はダイヤモンド合成技術としても知られていますが、実はダイヤモンドのカラー処理に使用される技術でもあります。
他にも、照射やアニーリングなど。
これらの処理技術を単独で使用したり、複数の処理を施したりすることで、ダイヤモンドの色は変化します。
ダイヤモンドの色は、品質として見る楽しみと、科学的な観点から見る楽しみ。
二つの楽しみ方が出来る項目です。
4・美しいから ④内包物・クラリティ
ジュエリーのことを考えるなら、内包物(ダイヤモンド内の特徴)は少なければ少ない方が良いです。
でも、純粋にダイヤモンドという鉱物を楽しむのなら、内包物は最高に楽しい素材です。
ダイヤモンドの中に、別の鉱物が入っていたり。
フェザーという羽状のインクルージョンが、本当に羽のように見えたり。
微細な内包物がたくさん入って、ダイヤモンドの中でクラウドという雲の様な模様を描いていたり。
また、内包物の少ないダイヤモンドにも、楽しみはあります。
ハイランクなダイヤモンドは、一体どこにどんな内包物があって、そのクラリティグレードになったのか?
小さすぎてみつけるのが大変な時は、まるで宝探しをしているようです。
そして、内包物の良いところは、ルーペ1つで楽しめる事。
カラーやカットは、専門的に調べるならどうしても特別な機材が必要です。
けれど、クラリティに関しては、基本的にルーペで見て決定するもの。
だから、他の機材が無くても十分に楽しむことが出来るんです。
5・他の宝石や真珠との相性が良い
ダイヤモンド単体を見ても、十分にハマれる要素はありますが、もう一つ忘れてはいけないのは、ジュエリーとしての利点です。
ダイヤモンドは、他の宝石や真珠との相性が抜群に良いアイテム。
どんな宝石もダイヤモンドを脇に添えることで、より美しく輝きます。
極端な話、多少品質に劣る色石であっても、周囲をダイヤモンドで飾れば美しいジュエリーになります。
先ほど紹介したように、ダイヤモンドは輝きが美しい宝石です。
この美しい輝きは、周りの宝石の見た目すら左右する力を持っているのです。
残念ながら、他の無色透明の宝石にはダイヤモンドほどの「引き立て力」はありません。
ダイヤモンドだからこそ、周りの宝石を、更にはジュエリー全体を美しく見せてくれるんです。
6・類似石がいっぱいあるから
ダイヤモンドには、類似石(ダイヤモンドに似た宝石)がたくさんあります。
もっとも有名なのは、キュービックジルコニア(CZ)。
見た目には、ダイヤモンドに最も似てるかな?と思います。
他にも、
- 合成モアッサナイト
- チタン酸ストロンチウム
- YAG(ヤグ/イットリウム・アルミニウム・ガーネット)
- GGG(スリージー/ガドリニウム・ガリウム・ガーネット)
- ホワイトサファイア(無色のサファイア)
- 合成ルチル
などなど。
また、ガラスやプラスチックなどで模造しているものや、無色透明の宝石を「〇〇ダイヤモンド」と名付けるなど、ダイヤモンドじゃない「ダイヤモンドっぽい石」は沢山。
そんなダイヤモンド類似石も、ダイヤモンド同様に好きです。
注)
ダイヤモンドではない石に対して、「〇〇ダイヤモンド」と名称を付けていることがあります。(「ソナダイヤモンド」「ハーキマーダイヤモンドなど)
これらは消費者に誤解を与えるフォールスネーム(誤った名称)と呼ばれ、望ましくない行為の1つです。
売り手は、少しでも商品に価値をつけたくて、ダイヤモンドの恩恵に預かろうとしています。
ですが、「ダイヤモンド」という表現を使用して良いのは、この世でただ一つ「ダイヤモンド」だけですよね。
7・情報収集がしやすいから
ダイヤモンドは、意外と情報収集がしやすいです。
ネットには沢山の解説サイトがあるし、各ジュエリーメーカーは「必ず」と言える程、サイトでダイヤモンドの説明をしています。
本屋さんに行けば、書籍も沢山。
鉱物関連の書籍には必ずと言っていいほど載っているし、宝石の中でも人気が高いのでダイヤモンド単独の書籍だってあります。
専門的なサイト以外でも、書籍は簡単に手に入ります。
ただ、アマゾンなどの書籍検索で「ダイヤモンド」と入れるのはおススメしません。どうしても「週刊ダイヤモンド」が上位表示されます(経験者)
正直、他の宝石の専門書は、本屋さんではあまり見かけません。
ですが大きな書店の地質学コーナー付近をうろつくと、大体1冊くらいはダイヤモンド関連書籍がある。
で、見かけるとつい手に取ってみてしまうんです。
これも、ダイヤモンドにハマる理由の一つです。
8・お仕事だから
元も子もない理由ですが。
宝石商という仕事上、ハマるもハマらないも、ダイヤモンドは日々目にするアイテムです。
私の撮影した写真を見ても分かるように、ジュエリーには大抵ダイヤモンドが使用されています。
もう毎日これだけ見ていれば、刷り込みのように好きになってしまいます。
よく「好きなことが仕事で良いね」と言われるのですが、「好きなことが仕事だった」のか、「仕事を続けることで好きになった」のか、今ではもうよくわかりません。
でもまあ、好きなことが仕事なのは良いですよね。
9・元ダイヤモンドグレーダーだから
ここまでひたすらダイヤモンド愛を語ってきましたが、これらのハマる理由の原因の元は、全てここに在ると思います。
私が、元ダイヤモンドグレーダー(ダイヤモンドの4Cを決める人)だったから。
以前の職場では、毎日毎日100ピースを超えるダイヤモンドと向き合っていました。
一日中ひたすら、ダイヤモンドの等級を決める仕事です。
今よりも、もっともっとダイヤモンド漬けの日々でした。
そして職務柄、ダイヤモンドの処理や偽物を見分ける技術も、いろいろと学びました。
「ダイヤの本物・偽物はどう見分けるの?」
という質問には、正直答えるのが難しいです。
感覚で、何だかおかしいと思う。
それは石を持った時の重みだったり、ルーペで見たときの輝きや光り具合の差だったり。
触った時の感触が、「なんか変だな」と思うときも。(熱伝導率の差を感じてるのかな?)。
もちろん、ちゃんと判別する場合は、科学的な証拠を見つけます。
でも真贋を見るときのとっかかりは、「なんか変」という感覚。
これほどまでに見てきたのだから、ダイヤモンドにハマるのも当たり前なのかも。
その上、現在も仕事上でダイヤモンドと付き合いがある。
ハマるというより、生活の一部的な感覚です。
10・理屈抜きで、好き
ここまでダイヤモンドの好きなところを、あれやこれやと書き連ねてきました。
でも、本当はそんな理屈どうでもいいんです。
だって、ダイヤモンドって綺麗じゃないですか?
だからハマったんです。
理由や理屈じゃなくて、どちらかと言えば恋愛的な感覚です。
惚れたんでしょうね、ダイヤモンドに。
1つの決め事
そんなわけで、今現在私はダイヤモンド沼にハマっています。
ですが、1つだけ決めていることがあります。
それは、いくらダイヤモンドが好きになっても、入れ込み過ぎないようにすること。
散々褒めちぎったダイヤモンドですが、1つ、如何ともしがたい問題があります。
それは、値段が高い事。
好きになるのは仕方がないと考えていますが、のめり込み過ぎたらきっと収集したくなる。
これはとても危険な兆候です。財布が悲鳴を上げます。
ダイヤモンドは綺麗だし、いろいろ調べまわるのも面白い。
ついでに言うと、仕事上でも常に向き合う宝石です。
でも、やっぱりダイヤモンドコレクターになる勇気(と財力)は、私にはないようです。