前回に引き続き、結婚指輪の選び方のお話です。
前回記事はこちらからどうぞ↓
前にお話ししたのは、
・私がおすすめする結婚指輪
・結婚指輪を選ぶ際に一番最初に考えるべき事
・結婚指輪を買うお店の選び方
・結婚指輪を買うときに気を付けたいこと
でした。
そして今回は、
・私が思う「選ばない方が良い結婚指輪」
では早速見ていきましょう。
- 「選ばない方が良い=買ってはいけない」ではありません
- 結婚指輪を選ぶ際に避けた方が良いデザイン
- 結婚指輪で否定はしないけどオススメもしないデザイン
- 結婚指輪を選ぶとき大切なことは「どのように結婚指輪を使いたいか」
「選ばない方が良い=買ってはいけない」ではありません
はじめに断っておきます。
今回紹介する結婚指輪は、「買ってはいけない」「選んではいけない」結婚指輪という訳ではありません。
あくまでも、「選ばない方が良い」結婚指輪です。
つまり、これから紹介する結婚指輪には何らかのデメリットがあって、それを知らずに購入すると買い手にとってマイナスとなる指輪、ということです。
今から紹介するデメリットを理解し、克服できるなら、選んでも問題ない結婚指輪なんです。
本当なら、こういう話は接客時に売り手がきちんと解説するべき内容なんですよね。
結婚指輪を選ぶ際に避けた方が良いデザイン
では早速、選ばない方が良いデザインについて、紹介していきます。
まず初めに紹介するのは、出来る限り避けるべきデザイン3選。
これらのデザインに関しては、デメリットのリスクが高いのであまり手を出さない方が良いです。
選びたい人は、それなりのデメリットを覚悟した上で購入しましょう。
①「流行の」デザイン
前回も解説しましたが、結婚指輪で「流行もの」を選ぶのは間違いです。
理由はただ一つ。
結婚指輪は、これからあなたが何十年と使う指輪だから。
流行おくれになったアイテムを、ずっと着けたいと思いますか?
もちろん、今現在流行している形が、あなたの理想の結婚指輪のデザインであったなら、その形の結婚指輪を選んでも何の問題もありません。
良くないのは、「流行している」という理由で購入すること。
流行とは、他人の感性で選ばれ、やがて移り行くもの。
あなたの結婚指輪は、あなたがこれから生涯着ける指輪です。
他人の感性や決定で、あなたの決定が左右されてはいけません。
他の人の感覚なんて、どうでもいいのです。
自分が良いと思ったデザインを選びましょう。
②サイズが直せないデザイン/素材
結婚指輪は、ほぼ全ての人が生涯で何度かサイズ直しをします。
特に女性の場合、出産・育児を経験すると指のサイズは変わって当然です。
なのに、サイズ直しをする際に「このデザインはサイズ直せません」と言われたら困りますよね。
だからこそ、購入時にサイズ直せるデザインであるかどうかは重要な条件となるんです。
「サイズが直せない指輪」には、いくつかの種類があります。
順にご紹介いたしましょう。
フルエタニティ/ぐるっと一周デザインのリングはサイズ直せない可能性大
一般的な指輪のサイズ直しの工程は、
①指輪の一部を切断し、
②そこに不足している貴金属を足して(小さくするときは切り落として)、
③もう一度切断部をくっつける、
これが基本的な流れです。
つまり、指輪の一部に切れる部分がないと、サイズは直せないのです。
(わずかなサイズの変更なら、上記以外の方法で行われる場合もあります)
そこで避けたいのが、「フルエタニティ」「ぐるっと一周デザインがある」指輪です。
フルエタニティとは、一周ダイヤモンドが並んだ指輪。
切るところがありません。
正直、結婚指輪でなくても、私は絶対にすすめないタイプの指輪です。
フルエタニティはかなり高額なのに、サイズ直しはまず不可能。
もしもサイズを変えようと加工を加えたなら、繊細に留めてあるダイヤモンドの爪が歪む可能性もあります。
歪んだら、一からダイヤモンドを留め直すことになります。
また、ぐるっと一周デザインや等間隔にデザインが入っている指輪も、基本的にサイズ直しは出来ません。
切ると、デザインが変わってしまいます。
等間隔の場合は、切断箇所はあるのですが、そこを切って延ばす(縮める)とデザインが崩れて等間隔でなくなります。
これらの指輪は、サイズが直せないことを覚悟の上で購入した方が良いですよ。
コンビリングのサイズ直しは技術力が必要
コンビリング、というものがあります。
これは、プラチナとゴールドなど、異素材・異なる色の素材を組み合わせて作るリングのことです。
デザイン的に面白いので人気があるのですが、サイズ直しの観点からはあまり宜しくはないです。
サイズ直しでは、通常かなりの高温のバーナー(炎)を使用します。
ところが、コンビでは互いに融点(金属が溶ける温度)が異なる素材が接着されているために、温度の調整が必要になります。
つまり、サイズ直しで職人さんの実力がもろに現れるんです。
(そもそも、サイズ直し自体を断られる場合もありますが)
鍛造リングもサイズ直しに技術力が必要
鍛造(たんぞう)リングというのは、金属を叩いてつくる指輪のことです。
(これに対して、鋳造(ちゅうぞう)リングというものがあります。
鋳造リングは、鋳型を作って、そこに貴金属を流し込み作る指輪のことです。
近年、多くのリングは鋳造で作られています)
鍛造リングは、イメージ的には刀鍛冶が刀を鍛えるような感じです。
叩いて作るので、金属はとてもかたくなる。
そのため、「鋳造リングよりも強度がある」と言われています。
ただし、この鍛造リング、場合によってはサイズ直しが出来ないor断られることがあります。
理由は、かたいから。
コンビリングと同じで、サイズ直しに技術力が必要なんです。
コンビリングと同じで、絶対にサイズ直しが出来ない訳ではありません。
ただ、場合によってはサイズ直しを断れることもあるので、アフターケアのお店探しに苦労するかもしれません。
ホワイトゴールドのサイズ直しは面倒
もう一つ、サイズ直しがしづらいのが、ホワイトゴールド製のリングです。
結婚指輪で使われるホワイトゴールドは、大抵がK18製。
K18とはつまり、75%が金という素材で出来ている合金のことです。
ここで一つ疑問が。
75%が金色の素材に、何を混ぜれば、銀色になるのでしょうか?
黄金色を消せるような金属がある?
いいえ、そうではありません。
ホワイトゴールドの本来の色は、彩度がわずかに落ちた金色。
シャンパンゴールド、そんな色を想像してください。
近年は、より白いホワイトゴールドも開発されているようですが、全体から見るとまだまだ一部に過ぎません。
そんなホワイトゴールドが、完全な銀色の金属であるプラチナと同じような色に見えているのは、表面にロジウムという金属をメッキしているからです。
つまり、ホワイトゴールドだと思って見ている色は、実はロジウムメッキの色なんですよね。
メッキをかけているホワイトゴールドのサイズ直しは、面倒がたくさん。
・本体のホワイトゴールドの合金配分が、会社によって異なる。
・サイズ直しをしたら元の色が出てくるので、必ずメッキのかけ直しが待っている。
面倒が多いということは、工賃も高くなるのが必然で。
またホワイトゴールドは、サイズを直さなくても、メッキが取れたら金色になります。
そうなったら、メッキのかけ直しを行わなくてはいけません。
アフターケアでお金がかかる、それがホワイトゴールドです。
③全体が細すぎる指輪
三つ目のおすすめしない結婚指輪のデザインは、細いタイプのもの。
細すぎる結婚指輪もまた、おすすめはしません。
何故なら、貴金属は意外と素手でも曲がるから。
もちろん、金属=かたいですよ。
でも、たった数ミリの金属棒は、女性の力でも十分曲げることが出来ますよね。
指輪も同じです。怪力などなくても、曲げることが出来ます。
細く華奢なリングは、可愛らしいです。
選びたくなる理由、よくわかります。
でもね、あまりに細すぎる指輪は、買い替え可能なアクセサリーとして購入してください。
高いお金を払ったのに、生涯使う結婚指輪が数年で使い物にならなくなる。
そうならないためにも、最低限2.5~3mm幅はあった方が良いですよ。
結婚指輪で否定はしないけどオススメもしないデザイン
次は、軽微なデメリットがあるデザインをご紹介します。
これらのデザインが気に入っている場合に決して否定はしませんが、デメリットについても知っておいた方が将来後悔しませんよ。
そんな風に思うデザインの数々です。
①内側に入れる誕生石などの宝石
誕生石、近年また増えましたね。業界の営業努力を感じます。
内側に宝石を入れるのは、よくある加工です。
誕生石を指輪の内側に入れて、特別感を演出。私も素敵なアイディアだと思います。
ただねぇ………
指輪の内側って、表からは見えない上に、結構汚れが溜まるものなんですよ。
手の油分や、手垢。
購入当時は綺麗に見えていても、いつの間にか石を入れている凹み部分に汚れが溜まります。
やがて、石そのものが見えなくなって。
洗ってみると、そもそも石が外れてなくなっていた!
そんなことも、決して珍しくはありません。
また内側に入れる石の宝石としての価値は、ほぼ0だと思ってください。
追加料金が請求されるのは、主に「加工にかかる費用」です。
もちろん、こういったデザインに使う石に「宝石としての価値」など求めないのが普通です。
けれど、商品を買ってもらう以上、その価値がどの程度であるのかを伝えないのは、売り手として誠実とは言えませんよね。
見えない、すぐ汚れる、いつ外れるかもわからない、宝石的な価値はほぼ0。
内側に入れる宝石は、本当にオマケ的な存在だと考えるといいですよ。
②表面に一粒だけ埋め込む本当に小さいダイヤモンド
↑まさに、こういうの。
指輪の表面に埋め込むタイプのダイヤモンドも、内側に入れる誕生石と同じです。
気が付くと汚れているし、気が付くと外れている可能性があります。
埋め込んでいる宝石というのは、周りの貴金属を寄せることで石を留めています。
これは本当に微妙な具合で留まっている。
しかも、指輪の貴金属は使う程にすり減っていくものです。
仕事中、家事の最中、お出かけの時。
常に着けている結婚指輪は、そのすり減り方も早いです。
すり減ると、ダイヤモンドは当然緩んでくる。
その結果、あなたが思うよりも早くに、ダイヤモンドが無くなることもあります。
内側であろうと、外側であろうと、埋め込む宝石は汚れが溜まる&気が付くと外れる可能性があることを覚えておいてください。
③指輪が回転することを前提としていないデザイン
結婚指輪は、どんなにサイズを合わせて作っても、嵌めているとクルクルと回るものです。
つまり、何かのデザインがあっても、その部分が常に手の甲側にいるとは限りません。
例えば緩やかなS字カーブ。
指を長く見せるV字/U字のデザイン。
これは手の甲側に来るからこそ、美しく見えるデザインです。
ところが、結婚指輪はクルクル回る。
デザインが回ると指に当たって痛いし、何度も何度も指輪を元の位置に戻さないといけません。
デザインは常に動き回るものだ、と理解した上で指輪を決めた方が良いですよ。
結婚指輪を選ぶとき大切なことは「どのように結婚指輪を使いたいか」
ここまで結婚指輪選びについて語ってきましたが、まずは一言。
あなたの夢を壊してしまい、本当にごめんなさい。
いつも友人などにも言うことですが、私の結婚指輪選びの説明は、本当に夢がないです。
人生最良のオシャレな結婚指輪を買いたい!と考えている人におすすめするのが、
甲丸/平打ち 3mm幅 デザイン無し(つまりただの金属のわっか)
ですから。
でも、決してデザインがあるリングを否定しているわけではありません。
世の中にはいろいろなデザインの結婚指輪があって、そういった結婚指輪を選ぶのも良いと思っています。
結婚指輪は毎日使うものであり、その使い方は十人十色。
ある人にとってはデメリットとなることも、別の人にとっては何の問題にもならない、それどころかメリットになる場合もあります。
だからこそ、今から結婚指輪を選ぶ人は、「自分たちはどういう風に結婚指輪を使いたいか」をよく考える必要があります。
結婚指輪の使い方をしっかりと考えれば、それぞれのデザインのメリット・デメリットも見えてきます。
後悔しない結婚指輪を買うためにも、「あなたが結婚指輪に求める条件」をしっかりと見定めるようにしてください。