あなたはアクセサリーとジュエリーの違いを、正確に説明できますか?
気軽に購入できるものが、アクセサリー。
高価なものが、ジュエリー。
そんな風に思われている方も、多いかもしれません。
ですが、その説明ではアクセサリーとジュエリーの差を十分には説明できていません。
アクセサリーとジュエリーの違いを正確に理解できれば、どちらのアイテムも、もっともっと上手に使えるようになりますよ。
アクセサリーとジュエリーの定義
アクセサリーとジュエリーの差を 表で表すとこのようになります。
カッコ内の(英語での〇〇)は、後ほど説明します。
この図は、私が鑑定士としての勉強をしていた際にノートに取った図を、更に簡略化したものです。
出典を探したのですが、どうしても見つからなかったので、記載しておりません。
見つかったら、再度記載したいと思います。
とても分かりやすいので、この図をもとにして解説をしていきます。
ファッション小物とは衣類以外の身に着けるもの全て
まずブルー枠の中、ファッション小物という分類を見ていきましょう。
ファッション小物と言えば、バッグやベルト、スカーフなども入りますよね。
要は、衣服以外で身に着けるものは、ほとんど全てこの枠内に収まります。
靴、傘、手袋、マフラー、もちろんリングやペンダントも、ファッション小物の一部です。
アクセサリーとは身に着ける装身具のこと
そんなファッション小物の中には、アクセサリーと分類されるアイテムがあります。
アクセサリーとは、身に着ける装身具全てを指します。
素材も、形も、アイテムの種類も問いません。
あなた自身を飾るもの=アクセサリーということになります。
例えばカーアクセサリーは、別に付けなくても問題なく車は走りますよね。
でもあれば役立つし、快適に車が乗れる。
車を装飾するも、それがカーアクセサリーです。
アクセサリーも、これと同じです。
衣服を着るときに、なくても問題はないけれどあるとあなた自身が華やぐもの。
それがアクセサリーなのです。
また、アクセサリーとファッション小物の間には、明確な分け目はありません。
同じアイテムであっても、アクセサリーになったりファッション小物になったりもするんです。
例えば、実用性に乏しいパーティーバッグを装飾のために持てば、アクセサリーと呼べます。
ところが、どんなに実用性が乏しくても、そのパーティーバッグをスマホ入れにしようしたなら、実用目的とも言えますよね。
このように、アクセサリーとファッション小物の区別は、とても曖昧なものなのです。
ジュエリーには明確な定義がある
アクセサリーとファッション小物の差は、あまり明確ではありませんでした。
ところが、アクセサリーとジュエリーの間には明確な違いがあります。
なぜなら、ジュエリーには明確な基準が存在するからです。
一般社団法人日本ジュエリー協会によると、ジュエリーの定義は、
①ジュエリーとは、J J Aの定義によれば、装身具のうち、素材に貴金属、天然宝石を用いた宝飾品を言う。
引用元:「ジュエリー及び貴金属製品の素材等の表示規定 2017(平成29)年度改訂版」
とあります。
つまり、
- 貴金属を用いていること
- 天然宝石を用いていること
この両方を満たす、もしくは片方を満たす装身具のことを、ジュエリーと呼ぶのです。
<貴金属を用いていること>
貴金属とは、金、銀、プラチナおよびプラチナ族(パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウム)のことです。
ただし、オスミウムなど、プラチナ族の中にはジュエリーに用いない貴金属もあります。
また、あまりに純度の低い貴金属も、ジュエリーと呼ぶことは出来ません。
JIS規格(JIS H6309)によると、ジュエリー用の貴金属の最低純度は以下の通り。
- 金・375‰(=K9)
- 銀・800‰
- プラチナ・850‰
- パラジウム・500‰
これを下回ると、ジュエリーには該当しません。
<天然宝石を用いていること>
この「宝石」という言葉にもいろいろと定義があるのですが、長くなるので今はやめておきます。
ものすごく簡単に言うと、宝石=綺麗で貴重な天然石。
だから、人工的に作られた鉱物は、「宝石」を名乗ってはいけません。
英語ではアクセサリーとジュエリーの意味は異なる
上記の説明に、あなたは違和感を感じましたか?
実は、ここまで紹介した定義は、日本語での話です。
これが英語になると、まるで意味が変わってしまいます。
初めの図をもう一度見てみましょう。
ご覧の通り、英語ではファッション小物のことをaccessoryと表現します。
そして、日本語定義でのアクセサリーは、Jewelry(jewelleryはイギリス英語での綴りです。誤字じゃないですよ)。
じゃあ、ジュエリーはどうなるのでしょうか?
おそらくこれに当たる言葉は、fine Jewelryです。
ファインジュエリーと聞くと、日本語ではより高価なジュエリーを思い浮かべますよね。
でも実際の英語では、将来アンティークジュエリーになりうる品質・価値を持つジュエリーを指すようです。
アンティークジュエリーとは、100年経った後も(デザイン・品質的な意味で)使用できるジュエリーのことです。
英語と日本語で、微妙に意味が変わる。
このことが、アクセサリーとジュエリーの言葉の意味が曖昧になる一因なのかもしれません。
「アクセサリーは贅沢、ジュエリーは倹約」
先日紹介した「間違いだらけの宝石店選び」に、以下のような言葉が掲載されていました。
「アクセサリーは贅沢、ジュエリーは倹約」――この言葉はユダヤ人の友人から聞いたものですが、さすがにお金の価値を知るユダヤ人の知恵から出た言葉だと納得させられます。
引用元:「間違いだらけの宝石店選び」
アクセサリーは、ジュエリーと比べて、比較的に安価に手に入れることができます。
対して、貴金属や宝石を用いるジュエリーは、高額なものというイメージがありますよね?
だから、通常ジュエリーは贅沢品であると思われがちです。
ところが実際には、ジュエリーよりもアクセサリーの方が圧倒的に贅沢なアイテムなんです。
例えば、
1万円で購入した、アクセサリー。
10万円で購入した、ジュエリー。
前者の方が、気軽に買いやすいですよね。
ですが、このように言い換えるとどうでしょうか?
今年1万円でお気に入りのアクセサリーを購入したが、翌年はまた違う1万円のアクセサリーを購入する。
20歳の頃10万円で購入したジュエリーを、20年経った今も着けている。
どちらが贅沢なのかは、明確ですよね。
もちろん、1万円のアクセサリーが1年で使えなくなるわけではありません。
大切に使用すれば、アクセサリーも何十年と使えます。
ですが、大部分のアクセサリーは、流行や素材の強度などの問題により、ジュエリー程長く持たせることは困難です。
対して、経年劣化が少ない貴金属で作られるジュエリーは、何十年も使うのが当然のアイテムですよね。
このような理由から、「アクセサリーは贅沢、ジュエリーは倹約」と言えるのです。
ただし、一つ断っておきたいことがあります。
「アクセサリーは贅沢、ジュエリーは倹約」という言葉は、ジュエリーはアクセサリーより優れている、という意味ではありません。
それぞれに使い分ける必要がある、という意味なんです。
アクセサリーは贅沢品、存分におしゃれを楽しんで!
アクセサリーは、贅沢な品です。
だから、贅沢に楽しみましょう。
通常、アクセサリーは、ジュエリーよりも買いやすい値段で販売されています。
そのため、ジュエリーよりも沢山の数を揃えることができます。
鏡の前で、今日の服にあうアクセサリーをあれこれと選ぶ。
その日の気分によって、たくさんのアクセサリーの中から今日の一番を探す。
たまたま立ち寄ったお店で、偶然出会ったアクセサリーが気に入ったから購入する。
このような楽しみ方は、ジュエリーでは中々難しいです。
おしゃれを存分に楽しみたいなら、アクセサリーほど最適なアイテムはありません。
ジュエリーは倹約、たった一つあればいい
対してジュエリーは、一つ購入すれば同じものは生涯購入する必要はありません。
ダイヤモンドの一粒ペンダントが一つあれば、もうあなたは同じものを購入しませんよね。
だからこそ、ジュエリーはデザイン性や流行で選ぶよりも、生涯使える品質のものを選ぶべきです。
場合によっては、代々受け継ぐことができるのが、ジュエリーの特徴の一つ。
貴金属は、そう簡単には腐食しません。
ジュエリーに用いられる宝石類も、その多くは経年劣化が起こりにくいものです。
あなたが思い切って購入したそのジュエリーを、子供から孫へ、更にその先の世代へと受け継いでゆく。
そのために必要なことは、低品質なジュエリーを選ぶのではなく、ある程度良い品質
のジュエリーを選ぶことです。
安価なジュエリーほど、もったいないものはありません。
アクセサリーと比べれば高価なのに、孫の代どころか、次の世代にも渡せない。
売却したところで、雀の涙。
しかも品質が悪いので、全然綺麗でもない。
これでは、何のためのジュエリーなのか分からないですよね。
中途半端なジュエリーは、贅沢でも倹約でもありません。
ただの無駄遣いです。
【ジュエリー学No.2】適材適所
アクセサリーとジュエリー、この分類について調べてみると、ジュエリーの方が価値がある、という説明をよく目にします。
ジュエリーには資産的価値があると言われており(その理論も、私は違うと思いますが)、そのことを引き合いに出すから、ジュエリー優位な説明になるのでしょう。
でも、これは大きな間違いです。
ジュエリーとは、そもそもアクセサリーの一種。
素材が限定されているだけにすぎません。
両者を同列に並べて比較することが、そもそもの間違いなんです。
ただ一つだけ気を付けたいのは、低品質で安価なジュエリーは、ジュエリーとしてもアクセサリーとしても用を成さない、という点。
アクセサリーとジュエリー。
楽しみ方が違う両者を上手に使い分けて、無駄遣いのないようにアクセサリー/ジュエリーを楽しみましょう。