今回紹介する本は、サイエンス・アイ新書の「鉱物と宝石の魅力」。
サイエンス・アイ新書とは、様々な科学的な内容を紹介しているシリーズです。
同じようなシリーズだと、講談社のブルーバックス新書が有名ですよね。
つまり、「鉱物と宝石の魅力」の内容は、完全に理系の解説書。
身に着けるジュエリーを紹介する本ではなく、宝石を科学的な視点から紹介する本です。
「鉱物と宝石の魅力」で鑑定士としての理系な知識を思い出す
「鉱物と宝石の魅力」は、ジュエリー本というよりも、鉱物本と言った方が正しいかもしれません。
内容は完全に、鉱物学の話。
鉱物とは何か、という基礎の基礎から、化学組成や結晶構造の話。
更には各鉱物の基本情報と、それに付随する知識。
鉱物マニアの方や、宝石そのものに興味がある方には面白い内容です。
でも、身に着けるジュエリーが好きな方にとっては、無縁の世界。
この本には、リングの一つも出てきません。
そんな本を、何故読むか?
それは、さび付きやすい私の宝石学の知識を、呼び起こすためです。
脳内の知識の引き出しは、度々取っ手がなくなります
私、一応理系の資格である「GIA・GG」を持っています。
要は、宝石学修了者=宝石を化学的な観点から勉強した人なんです。
でも私はそもそも、学生時代は文系一色の人間でした。
文学部の学士号は持っていますが、高校数学も全く理解できない。
そんな私が、社会人になってから理系の資格「GIA・GG」を取得。
当時は頑張って勉強したんです。
でもやっぱり、資格取得から時間が経つと、忘れる忘れる。
覚えていたはずの知識の引き出しも、いつの間にやら取っ手がなくなってる!
ちゃんと持っているはずの知識なのに、やっぱり細かいところは忘れている始末です。
これを補完するためには、理系の書物が丁度いい。
専門書よりはわかりやすく、入門書よりは詳しい。
「鉱物と宝石の魅力」は、脳の引き出しの取っ手として役立つ本です。
鉱物学を学ぶことで撮影できる写真もある
「鉱物と宝石の魅力」が私にとって役立つ本、という点は置いておくとして。
このブログは、ジュエリーを美しく撮影するためのブログ。
なら、何のためにこんな理系書を紹介したのか?
それは当然、この理系の知識が写真につながるからです。
実は、ジュエリー写真を撮影する際、鉱物の知識はとても役立ちます。
ダイヤモンドを輝かせるために、知っておくべき光の反射の知識。
こういうの↑
一部の宝石に見られる二色性(観察方向によって、見える色が異なる)の、より有効な写真での活用方法。
こういうの↑
もちろん理系の知識は、全く無くても撮影できます。
でも、知っていて撮る方が、より効果的に美しい画像を撮影することができます。
特に宝石の撮影をするなら、鉱物の知識は覚えていおいて損はない。
でもね、学校に通ってまで知識を得るのは、時間もお金もかかりすぎる。
だからこそ、こういう理系の本から知識を得るのがおすすめなんです。
「鉱物と宝石の魅力」で紹介されている内容は、鑑定士としての初歩の知識。
入門書よりは難しいけれど、専門書よりはかみ砕いて説明されています。
もしあなたが、もっと幅広いジュエリーの写真を撮影したいと思うのであれば、「鉱物と宝石の魅力」を手に取ってください。
鉱物学を覗くことで、あなたの写真の幅が広がりますよ。
「鉱物と宝石の魅力」
著者:松原聰・宮脇律郎
出版社:SBクリエイティブ