宝石に関する疑問を持ったことはありませんか?
素朴な疑問から、ちょっと専門的な疑問まで、疑問は沢山ありますよね。
ダイヤモンドって燃えるの?
エメラルドに秘められたパワーって本物?
溶錬水晶って何?
などなど。
今回紹介する本「宝石Q&A」は、そんな宝石の疑問に答えてくれる本です。
「宝石Q&A」の「A」はストレートの速球です
「宝石Q&A」は、まっすぐの剛速球で回答が飛んでくる本です。
この本にはオブラートなんて薄っぺらいものは、はなから用意されていません。
たとえば、「溶錬水晶」という名称に関するQ&A。
Q:溶錬水晶という人工の水晶が売られていますが、合成水晶の事ですか。
A:溶錬水晶という名前で流通しているものは普通のガラスです。
引用: 「宝石Q&A」
とてもストレートな回答でしょう?
ちなみに。
溶錬水晶は、水晶を削ったりカットした際に出る「水晶の削り粉」を集めて、もう一度固めて作ります。
水晶の化学組成は、SiO2。つまりに酸化ケイ素。石英の結晶です。
石英の粉を集めて、火にくべて溶かしてもう一度一つの塊に戻す。
そうして出来上がったものは何か?
石英ガラスですね。
フラスコとか、ビーカーとか、ちょっと高めのガラスのことです。
ただし、溶錬水晶は純粋に石英だけを集めて作っている訳じゃない。
他の物質を混ぜている場合だってあります。
だから溶錬水晶は石英ガラスでもないし、もちろん水晶でもない。
出来上がったものは、普通のガラスに他なりません。
それをわざわざ溶錬「水晶」と書いて売るのは、売り手側の試案があるからなのですが………
でも「そんな事、知ったことじゃない!」と言わんばかりにバッサリ。
普通のガラスです。
この切り口、とても気持ちいいと思いませんか?
「宝石Q&A」の清々しい読後感
「宝石Q&A」には他にも、快刀乱麻な回答はそこかしこにあります。
「エメラルドに未来を見通せる力があるか」という質問には、「まったくないです」。
「誕生石を決めたのは誰」という質問には、「宝石業者」。
夢も希望もないですよね。
でも、現実はそんなものです。
エメラルドに未来を見通せる力があるなら、エメラルド業者は今頃みんなが億万長者。
世界のトップに立つ国は、エメラルドの主要産出国であるコロンビアでなくてはいけないでしょう?
誕生石だって、聖書が書かれた時代から存在していたわけじゃない。
近代になってから、「宝石業者が聖書を引用して制定した」にすぎないです。
(所説ありますが)
そのような内容を、まっすぐに教えてくれる「宝石Q&A」。
本当に、笑えるくらいにまっすぐ答えてくれるんです。
宝石に関する実用書で、クスっと笑える本に出会えたのは、今回が初めてでした。
「宝石Q&A」
著者:飯田孝一
出版社:亥辰社