以前紹介した「ダイヤモンドの科学」は、ダイヤモンドの基礎を知るのにピッタリな一冊でした。
この本の内容をしっかり理解すれば、基本的なダイヤモンドの知識は身についたと言っても過言ではありません。
けれど、この本の内容はあくまでも基礎。
ダイヤモンド好きなら、基本知識をおさえた次は応用を欲しますよね。
より深くダイヤモンドの世界を知りたい!
「ダイヤモンドの科学」の内容よりも、もっと詳しくダイヤモンドを理解したい!
そんな知識欲を抱えた方にお勧めする本が、本日紹介する「ダイアモンド博物館」です。
「ダイアモンド博物館」にあるのは、基礎の次の世界。
それではダイヤモンド沼への扉を、開いてみましょう。
「ダイアモンド博物館」は理系の大学教授によるダイヤモンドの解説書
「ダイアモンド博物館」という書籍は、藤田英一さんと大嶋隆一郎さんの共著です。
このお二人の肩書は、巻末に略歴として記載されていました。
藤田英一さんは、理学博士であり、個体物理や金属物理、格子欠陥、核分光を専攻されています。
一方大嶋隆一郎さんは、工学博士。その専攻は、格子欠陥、放射線物性、電子顕微鏡だそうです。
つまり、「ダイアモンド博物館」は理工学の視点から見たダイヤモンドの解説書なのです。
ダイヤモンドの深い知識なので当然難しい言葉も登場する
もちろん、理系の先生方が書く書籍ですので、「ダイアモンド博物館」には難しい言葉・数式がそこかしこに登場します。
例えば、ブリリアント・カットに関する光学の話題では、可視光の分散についてや、光の入射角や反射角の計算が。
また、結晶学の話題では、面指数や対称軸といった言葉が、何の解説もなくサラリと登場しています。
理系で学ばれてきた方には何ということない言葉の数々も、文系一筋な私からすれば戸惑うことも多くありました。
特に数式などは、何度も戻って読み返した場所も。
けれど、より深いダイヤモンド沼に入るためには、足元の悪い藪道に踏み入る必要もあります。
頑張って苦手な計算も、苦手な計算も………
合金の時効析出と同様に、ダイアモンド中のNは温度Tが下がると固溶量cが下がる.その関数形はご存知のように,通常の指数関数型で次のように書ける.
c=α exp{-(Es+PΔV)/RT}
出典:ダイアモンド博物館
(計算式部分は、正しい記号・文字ではない箇所があるかもしれません。私のわかる範囲で、最も本文に近い形で記載しています)
私の知っている「計算式」とは、根本的に違いました。
「ご存知のように」という単語が、心に刺さりますね。
「ダイアモンド博物館」は理系本だけど文系でも理解は出来る
大好きなダイヤモンドについて、もっともっと深く知りたい。
「ダイアモンド博物館」は、そんな私の知識欲の一環で購入した書籍です。
だから理系の深い話が出てくることも、当然分かっていました。
そもそも、本文の句読点が「。」「、」ではなく、「.」「,」である段階で、難しい本なのだろうという予測はしていたんです。
それでも、より深い場所を覗いてみたい、ダイヤモンドをもっと知りたいという気持ちに変わりはありません。
だからこそ手に取った、一冊です。
一歩進んだ応用書。
文系には確かに難しい本ではありましたが、決して読めない本ではありません。
理系の人にとっては、おそらく簡単な内容です。
ダイヤモンドの沼にはまりかけている方、是非一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
「ダイアモンド博物館-最高の宝石の歴史と科学-」
著者:藤田英一・大嶋隆一郎
出版社:アグネ技術センター