お金をかけずに撮影するジュエリー写真

家にあるモノを駆使して美しい写真を撮影しよう!

当ブログはプロモーションが含まれています

【ジュエリー本No.23】ダイヤモンドの大河ドラマ「ダイヤモンド 輝きへの欲望と挑戦」

f:id:himmelan:20210520224311j:plain

 

本日も、ダイヤモンドに関する書籍の紹介です。

最近ダイヤモンドの関連本ばかりを読んでいる気がします。

 

折角読んだ本ですから、内容が温かいうちに。

 

 

「ダイヤモンド 輝きへの欲望と挑戦」

この本は、実用書ではありません。

完全な読み物、ダイヤモンドに関する数々の物語を描いた本です。

 

科学的なダイヤモンド読本はいらない。

もっと人間味あふれるダイヤモンドの世界を知りたい。

今回はそんな文系寄りな本を、ご紹介いたします。

 

 

ダイヤモンド業界の最奥に携わる記者が執筆

 

f:id:himmelan:20200720230851j:plain

 

「ダイヤモンド 輝きへの欲望と挑戦」の筆者マシュー・ハート氏は、ラパポート・ダイヤモンド・レポートの記者です。

ラパポートというのは、ダイヤモンド業界の最重要業界紙

ダイヤモンドを扱う業者は、必携の一冊です。

 

ラパポートが業界内で重視されているのは、ダイヤモンドの国際的な価格が掲載されているからです。

相場予想などという、生易しいものではありません。

ラパポートで発表されるのは、正真正銘、その時点でのダイヤモンド世界基準価格。

つまり、世界中のダイヤモンド取引はラパポートに掲載される価格を元にして、値段が決まっているんです。

 

もちろん、掲載価格そのままでダイヤモンドを手に入れることは出来ません。

業者同士の駆け引き、流通経路、取引業者との信頼関係。

また外国から仕入れる場合は、為替相場や輸入手続きにかかる費用も視野に入れなくてはいけません。

それでも、明確な価格が決まっているのは凄いことですよね。

 

つまり、ラパポート・ダイヤモンド・レポートは、ダイヤモンド業界の中心にいる業界紙と言っても過言ではないのです。

そのラパポートの記者ということは、業界の最奥に精通している記者ということになりますよね。

 

歴史が動いた現場にいたかのような詳細な描写

 

f:id:himmelan:20200630000627j:plain

 

「ダイヤモンド 輝きへの欲望と挑戦」で紹介されている内容は、とにかく臨場感が凄いです。

 

  • 歴史的に有名なダイヤモンドは、どのように発見されたのか。
  • ダイヤモンド業界最大の企業、デ・ビアス社は如何にして生まれたか。
  • 紛争ダイヤモンドの世界は、どのようなものなのか。
  • ダイヤモンドを美しく輝かせるカット法は、いつどうやって編み出されたのか。

 

これらの疑問に対する回答は、多くのダイヤモンド関連本に掲載されています。

 

例えば、デ・ビアス社は、イギリス人セシル・ローズの手によって生まれた、世界最大のダイヤモンドシンジケート。

世界中のダイヤモンド鉱山を手中に収め、世界のダイヤモンドの生産量及び価格調整を行っている企業です。

………この程度の知識であれば、インターネットで検索しても出てきますよね。

 

では、セシル・ローズは如何にして、そのような巨大なシンジケートを生み出せたのでしょうか?

彼の性格は? 出身は? 家族は?

なぜ、ダイヤモンドの世界に飛び込むことになったのか?

どんな人々と出会い、どのように行動し、どんな風に考えていた?

「ダイヤモンド 輝きへの欲望と挑戦」の中では、セシル・ローズが歩んだ道が、まるで映画でも見ているかのように、紹介されています。

 

表面的な知識ではない、人間ドラマ。

「ダイヤモンド 輝きへの欲望と挑戦」は、まるで大河ドラマを見ているような感覚すら覚えるのです。

 

外国人が執筆する独特な表現方法

 

f:id:himmelan:20210707141628j:plain

 

「ダイヤモンド 輝きへの欲望と挑戦」がドラマのように見える理由は、この本の筆者が外国人であることも影響しています。

 

翻訳書ならではの、独特の言い回し。

日本人が書いたなら、このような表現をしなかったであろう、情景描写。

 

元レンガ積み職人のトーマス・カリナンが、ヨハネスバーグにほど近い場所でプレミア鉱山を発見したのだ。デビアスと手を組んでいたサー・アルフレッド・バイトは、車でそれを見に行くと、気絶して倒れてしまった。そのパイプの地表に現れた部分が、八〇エーカーもあったからだ。キンバリーで最大のパイプの三倍である。

 

出典:「ダイヤモンド 輝きへの欲望と挑戦」第三章より

 

これは、デビアスが現在の地位に至るまでを紹介している内容の、一部分です。

パイプとは、ダイヤモンドが発見される地表の事。

当時、キンバリーという地域を支配していたデビアス社が、ヨハネスバーグのプレミア鉱山を手にする経緯を描いた部分です。

 

まるで現場に居合わせていたかのような、情景描写ですよね。

この外国人ならではの書き方が、「ダイヤモンド 輝きへの欲望と挑戦」を単なる歴史書から物語書へと進化させているのです。

 

ダイヤモンドの歴史を知るにはうってつけの一冊

f:id:himmelan:20200620003705j:plain

 

今まで私が紹介してきたダイヤモンド関連本は、どちらかと言うと理系な内容でした。

ですが、この「ダイヤモンド 輝きへの欲望と挑戦」は、ダイヤモンドの歴史を辿る一冊です。

 

それも、事象のみを並べるような歴史書ではありません。

まるでドラマのワンシーンを見ているかのような情景が見える描写で、教科書には載っていないあれこれを教えてくれます。

 

ダイヤモンドの事については、何でも知っているよ!

そう豪語する人にこそ読んでもらいたい、「ダイヤモンド 輝きへの欲望と挑戦」。

 

来年の大河は、是非この本でお願いいたします。

 

 

「ダイヤモンド 輝きへの欲望と挑戦

著者:マシュー・ハート 鬼澤忍 訳

出版社:早川書房

 

 

 

 

ところで。

 

一番最後のページで紹介されている、ハヤカワ・ノンフィクションのその他の書籍。

どれも面白そうなのですが、タイトルだけで読みたくなる一冊を見つけました。

 

「だれもあなたのことなんか考えていない ――他人にしばられずに長生きするための58条」

 

ちょっと買いに行ってきます。