お金をかけずに撮影するジュエリー写真

家にあるモノを駆使して美しい写真を撮影しよう!

当ブログはプロモーションが含まれています

【ジュエリー本No.31】「琥珀に恋して」は琥珀に恋した作者が書く琥珀への愛の話

f:id:himmelan:20210520224311j:plain

 

あなたは、なぜ今の仕事を選びましたか?

あなたが今いる業界のことは、好きですか?

 

今回紹介する本は、自分の仕事が大好き、自分が扱う商品に誇りを持っている人が書いた、ちょっとした自伝です。

 

 

タイトルそのまま、琥珀に恋をした作者が、ジュエリー業界の中でやりたいことを見つけ、その「やりたいこと」のために方々を駆け回ったお話。

作者の経験談なのですが、まるで小説を読んでいるかのような一冊でした。

 

 

「琥珀に恋して」しまった若い女性

f:id:himmelan:20211208001349j:plain

「琥珀に恋して」は、作者湯澤美香さんが、ジュエリースクールに通っていた頃に経験した、「エターナル・アンバー」という企画への挑戦について書かれた本です。

 

エターナル・アンバーとは、湯澤さんが考案した琥珀の活用方法の一つ。

琥珀の中にDNA情報や無線ICタグチップを封入し、その特別な琥珀で世界に一つしかないアクセサリーを作成する。

そうしてつくられたアンバーは、アクセサリーとしての価値だけでなく様々な利用方法が考えられる。

これが、作者が考案したエターナル・アンバーの世界です。

 

企画を始めたきっかけは、ジュエリースクールでの企画作成の授業だったそうです。

つまり、学生さんが考案したアイディア。(当時の学校では、あまりウケの良い企画ではなかったそうですが)

余程琥珀という素材にほれ込んだのか、世界中の琥珀について調べたり、海外の琥珀加工職人さんを訪ねて回ったり、実際に琥珀を採掘しに行ったりと、本当にアクティブ。

 

もしも私なら、まだ宝石の勉強をしている最中に、自分の惚れこんだ宝石のためにここまでできただろうか?

そんなことを考えてしまいました。

 

あなたは「琥珀」、好きですか?

 

f:id:himmelan:20211208001729j:plain

 

琥珀、好きですか?

私はまあまあかな、と思います。

ちょっと特殊な宝石ですしね。

 

琥珀という宝石は、少し不思議な感覚をもつ宝石です。物理的に。

手で触れると、手に吸い付くような、ペタッとしているような、そんな触感があります。

また、「触れると温かみがある」と言われていますが、正直私は「なんか生ぬるい」と感じます。

そして、とにかく軽い。この軽さのせいで、よく偽物と思われてしまう、可哀そうな宝石です。

 

昔お土産品としても良くありましたね。

おばあちゃんのタンスには、琥珀かべっ甲、どちらかのブローチが1つは入っているのではないでしょうか?

 

他にも、映画「ジュラシックパーク」に登場した宝石でもあります。

琥珀は元々が樹液の化石ですので、中に虫などの生き物が閉じ込められていることがあります。その閉じ込められた生物の血液から生まれたのが、「ジュラシックパーク」の恐竜たち。遺伝子を回収して、現代技術で蘇生した古代の生き物が――

まあ、実際に琥珀から恐竜が蘇ることはないのですけれど。

 

ただ、生物が中に入った宝石って、琥珀の他にはほぼありません。

そういった意味では、とても特殊な宝石なのでしょうね。

 

作者の愛が凄い一冊

 

f:id:himmelan:20210201110725j:plain

 

実はこの「琥珀に恋して」の中には、様々な琥珀のコラムが載っています。

おまけのように掲載されていますが、結構面白いことも書かれていました。

というか、琥珀自体の解説はほぼコラムにしか載っていません。

 

本文は、とにかく琥珀への愛であふれています。

「ああ琥珀、あなたはなぜ琥珀なの」

みないな。

 

良く言えば、好きなものに情熱を注ぐタイプの人が、好きなものを追いかけている話。

悪く言えば、「自分が良いと思ったものは、他人も良いと思うに決まっている!」という思考の元、ただひたすら突っ走っている話。

琥珀の事を、「まあまあ」と評した私にとっては、どちらかと言えば後者なイメージが残る一冊でした。

 

読み物としては、興味深かったですよ?

ただ、エターナルアンバーをどのように作品(商品)にしたか、とか、実際に販売した感触はどうだったのか、とか、特許取得の先にどのようなことがあったのか、など現実的な話題がなかったんです。

もうとにかく、「琥珀いいよね!」「琥珀ってこんなところが素晴らしいよね!」みたいな流れだけなので、肝心のエターナルアンバーの姿が見えてこなかった。

その点では残念かな、と。

もう少し、エターナルアンバーの実態を知りたかった。

 

琥珀という宝石にそこまで魅力を感じていない人が読むと、少し胃もたれする内容かもしれません。

でも何度も言うように、読み物としては面白かったし、興味深かったんです。

人が何かを愛すると、ここまで積極的になれるのか、って。

ああ、私も好きなものに対してこんなに積極的になれたらいいのにな、って。

 

作者のような人に、私もなりた…………い?

う~ん…………………

……………………………………

………………………………………………………

…………………………………………………………………………

 

いや、私は私で良いです。

 

 

 

 

「琥珀に恋して 地球最古のオーガニック・ジュエリーの楽しみ方

著者:湯澤美香

出版社:幻冬舎ルネッサンス