「宝石のほん」第二弾です。
今度は、トルコ石のお話。
一冊丸々トルコ石の話です。
以前紹介したヒスイと同じく、これ一冊読めば、トルコ石についてをほぼ理解できます。
12月がお誕生日の方、是非誕生石トルコ石について学んでみてください!
そしてトルコ石を愛してあげてください!
「12月の誕生石のトルコ石って、なんかパッとしない宝石だよねー」
「ダイヤとかルビーとか、そういう月に生まれたかったよねー」
とか言わないでください。
トルコ石は、歴史ある美しい宝石なんですよ。
トルコ石の名前の由来
トルコ石、ターコイズ。
どちらの呼び方であれ、名前に「トルコ」という地名がついていますよね。
「トルコ石というくらいだから、トルコで採れる石」、そう思っていませんか?
実は、現在の「トルコ」という地域は、トルコ石の産地ではありません。
「今は産出していなくても、世界で初めてトルコ石が採れたのがトルコだったとか?」
いいえ、それも違います。最古の産地は、イランあたりと言われています。
「じゃあ何でトルコ石なの!?」
ね。
そう思いますよね。
トルコ石がトルコ石と呼ばれているのにはいくつかの説があるようですが、簡単に説明すると、「トルコの方からやってきた石」という意味です。
ヨーロッパ圏にイランで採掘された青色の石を持ち込んだ人。
それが「トルコの商人」だったから。
または、かつてイランあたりもトルコという国の一部だったため、トルコ石をトルコの石と呼んだ、という説もあります。
いずれにせよ、遥か東方からもたらされた青色の石は、西洋で大変人気となりました。
東洋からもたらされる、神秘の青い宝石。
当時の人にとって、「トルコ石」はロマンある名前だったのでしょうね。
日本ではあまり人気がない?トルコ石の青
トルコ石は、日本ではあまり人気が高い宝石ではありません。
あの青色に魅力がないから?
そんなことはありませんよね。
だって、トルコ石の青色は日本でも人気がある有名ブランドの箱の色と同じでしょ?
「ティファニー」のブランドカラーは、駒鳥の卵の色から来たものです。
その駒鳥の卵の色とは、最高級のトルコ石の色でもあります。
(駒鳥の卵を知らない人は、是非「駒鳥の卵」で検索して下さい。イースターエッグもビックリな映像が出てきますよ)
あの鮮やかな青色、あなたは嫌いですか?
でも実際、日本においてトルコ石は、あまりハイランク扱いされないのが事実。
理由は様々あるのでしょうが、この本では1つ面白い解説がされていました。
日本にトルコ石が持ち込まれたのは、明治時代になってから。
ところが、当時の日本人は青と緑の明確な区別がなかった。
だから、日本ではトルコ石は受け入れられなかった。
この理論を見て、ハッとしました。現在でも、日本では青と緑って、混同して使っていますよね。
青々とした野菜は青色ではないし、青信号だって青じゃない。青りんごに、青虫、青葉、青汁。
ほら、現代に生きるあなたも混同しているでしょう?
こんな風に当時の日本では青と緑が明確に分かれていなかったから、曖昧な色であるトルコ石の青も受け入れられなかった。
この解説、納得できるような、出来ないような………
でも確かに、美しい色の割には、当時トルコ石の人気は高まらなかったんですよね。
青と緑とトルコ石。
あなたはどう思いますか?
トルコ石と鑑別
この本でもかなりのページを割いて紹介されていますが、トルコ石は本当の処理の種類が多い宝石です。
含侵に、着色、ワックス処理。
更には、模造石の数々。
そして困ったことに、どれも似たような見た目になります。
つまり、天然の美しいトルコ石そっくりに仕上がるんです。
もちろん、きちんと鑑別すれば看破は可能です。
ところが前述した通り、日本では、トルコ石はあまり高額な宝石として扱われません。
だから、トルコ石に鑑別書が付いていなくても、わざわざお金をかけてまで鑑別することも少なくて。
きちんとした宝石屋さんなら、トルコ石をちゃんと扱える宝石屋さんなら、鑑別書がなくても看破できるかもしれません。
でも実際には、国内では沢山の「天然トルコ石っぽい、トルコ石(鑑別書なし)」が出回っています。
しかも一般の人は、処理の看破は出来ませんよね。
だから、手元のトルコ石を「怪しい」「偽物かも?」と思ってしまい、余計にトルコ石は好まれなくなる。
こんな風にして、トルコ石の評判が落ちていくのは、少し寂しい気がします。
晴天の空を切り取ったかのような、美しいターコイズブルー。
この本を通して、一人でも多くの人にトルコ石の魅力を知ってもらえたら嬉しいです。
「トルコ石」
著者:飯田孝一
出版社:亥辰舎