便利な本を見つけました。
ご覧の通り、外観は随分とシンプルな一冊ですが、中身が凄い。
「宝石品質ガイド~クオリティスケール~」
この本は、宝石に関して詳しく解説している本ではありません。
文章なんて、ほぼ目次とイントロダクションだけ。
しかも、その目次とイントロダクション以外は英語。
でも、宝石が好きな人は是非一冊手元に置いて欲しい。
そんな一冊。
この本は、「主要な宝石の品質、価値を分かりやすく図解した本」です。
色石の品質を見るのは難しい
ダイヤモンド以外の宝石のことを、一般的に色石と呼びます。
この色石。
プロであっても、品質の良しあしを見分けるのが難しいです。
特に色に関する品定めは、主観的になってしまいがちですね。
例えばルビー。
最高品質の色味は「ピジョンブラッド」と言いますが、「ピジョンブラッド」がどんな色なのか、正確に想像できますか?
赤黒い色?
鮮やかな赤?
明るめの赤?
おそらく、「ピジョンブラッド」と言っても100人が100通りの赤色を想像してしまいます。
これは、業者間でも同じです。
皆がそれぞれの「ピジョンブラッド的高品質な赤の範囲」を持っている。
でも、正直それは他の人と同じ色範囲を指しているとは限りません。
もちろん、プロなのだからある程度は一致しています。
でも、やっぱりズレがあるのは当然で。
ダイヤモンドの色判定を行う際は「マスターストーン」と呼ばれている基準石を用いた、客観的な判断。
でも、マスターストーンの存在しない色石は、主観が入って当然なんです。
だからって、「主観で見た美しいと感じる赤」=「高品質なルビーの赤」であるとは限りません。
もっと客観的に品定めしないと、偏った判断になりますよね。
だから、色石の良しあしを見るのはとても難しいのです。
各色石の価値基準をまとめた本
「宝石品質ガイド~クオリティスケール~」は、そんな色石の良しあしを見分ける手助けとなる本です。
見開き1ページにつき一種類の宝石が載っており、全部で28種類の宝石のクオリティスケールが用意されています。
しかも、「ジェムクオリティ」「ジュエリークオリティ」「アクセサリークオリティ」の範囲まで表示されていて。
これを見れば、手元にある宝石がどの品質のものであるのかが分かります。
もちろん、この本と比較すれば色石の品質を完璧に理解できる、という訳ではありません。
実際には、希少性やら流行、色以外の品質(クラリティやカットの正確性、サイズなど)も見定めなくてはいけないです。
だから、この本だけで良しあしを決定することはお勧めしませんが、色石の色の価値を理解するための手助けにはなります。
たとえば、これからルースコレクターマニアになろうと考えている、そこのあなた。
出来るだけ早急に色石の目利きが出来るようになりたい、そこのあなた。
まずは、この「宝石品質ガイド~クオリティスケール~」を眺めてください。
この本に描かれている色を覚えれば、色石の色の価値を判断できるようになりますよ。
「宝石品質ガイド~クオリティスケール~」
著者:諏訪恭一
出版社:アーク出版