アゲート、という宝石があります。
少し分類がヤヤコシイですが、面白い特徴がある宝石です。
残念ながら、ハイランクなジュエリーには滅多に用いられない宝石ですが、「美しい絵画にも匹敵する」宝石なんですよ。
今回紹介する本は、そんなアゲートの写真ばかりが集められた、画集のような一冊。
注)↑本紙表面の写真が「無理!」と思われる方は、この本は絶対にお勧めできません。縞々と縞々が縞々している一冊です。
アゲートの魅力に、飲み込まれてみましょう。
アゲートとは?カルセドニーや瑪瑙との違い
まず、本の紹介の前に基本的な話です。
アゲートとは、どんな宝石でしょうか?
アゲートは、和名を「瑪瑙」(めのう)と言います。
肉眼では見えないくらい微小な石英(いわゆる水晶)の結晶が寄り集まって、1つの鉱物となった石です。
純粋な透明石ではないので、多少透明度の高い石はあっても、基本的には半透明であることが一般的。
その外観の一番の特徴は、模様があること。
一般的には、縞模様、年輪模様ですが、縞模様以外のタイプも沢山あります。
たとえば、
モスアゲート:苔状の模様
デントリティックアゲート:樹木状の模様
ピクチャーアゲート:(主に砂漠地帯や草原を描いた)風景画のような模様
これらの様々な模様は、自然に生まれたとは思えない不思議な見た目をしています。
特にピクチャーアゲートは、人工的に描いたとしか思えないくらいなんですよ。
ところで、アゲートとよく似た鉱物に、カルセドニーという宝石があります。
この石もまた、微小な水晶の結晶が寄り集まった鉱物。
アゲートとの違いは、縞模様があるかどうかです。
ちなみにちなみに。
カルセドニーは、和名を玉髄(ぎょくずい)といいます。
ところが、一部でカルセドニーのことを指して瑪瑙と呼んでいる場合があります。
また、白と黒の縞模様を持つアゲートのことを、オニキスと呼びます。
ところが、真っ黒のジャスパー(半透明ではなく、不透明の場合は、ジャスパーという別名になります)のことを、オニキスと呼んでいることが多いです。
どちらも、間違いと言えば間違いですが、広く使われている用語なので、目くじら立てて「間違いですよ!」と指摘することもないのでしょう。
では、ここまでをまとめて見ましょう。
アゲート:半透明で模様がある石英、瑪瑙(縞瑪瑙)
カルセドニー:半透明で模様がない石英、玉髄
ジャスパー:不透明の石英
でも結構呼び名が混同されていることもある。
で。
「縞と色彩の石アゲート」は、これらの中の「アゲート」に関する本です。
「縞と色彩の石アゲート」は縞々アゲート満載
アゲートという石は、先ほど紹介した通り、微小な石英の寄り集まり。
そのため、とても染色がしやすい素材です。
一般的に売っている色鮮やかなスライスアゲートなどは、ほとんどが染色と考えても間違いない程です。
(上の写真は、画像サイトのメノウ写真ですが、これもおそらく染色じゃないかな?と感じます)
ところが、天然でも色が付いたアゲートというものは沢山存在しています。
さすがに、染色特有の真っ赤・真っ青といった鮮やかな色は少ないですが、その色の豊かさは、まるで画家のパレットのようです。
この「縞と色彩の石アゲート」では、そのような多種多様な色がついているアゲートが沢山掲載されています。
見たこともない不思議な模様、色鮮やかな縞々、自然に生まれたとは思えないような配色。
地球が作り出した芸術品の数々が、本いっぱいに。
写真がメインの本なので、読む部分はほとんどありません。
しかも、紹介されているアゲートの多くは、著者が所有しているもの。
アゲートへの愛を感じる一冊です。
(注意)
全部のアゲートがそうではないですが、一部、点々が集まったような写真もあります。
集合体恐怖症(トライポフォビア)の方は、よくよく注意することをおススメします。
アゲートは安価?他の宝石とは方向性の違う魅力を持つ石
アゲートという宝石は、実は世界中の様々な場所で採掘されます。
そのため、比較的安価で手に入る宝石としても有名ですよね。
でも、アゲートの魅力は他の宝石とは少し異なる場所にあります。
それは、自然に生まれたとは思えない、その模様。
ユニークな曲線、色の変化、そして摩訶不思議な配色。
こればっかりは、言葉ではどんなに説明しても説明しきれない!
アゲートの魅力が満載の、「縞と色彩の石アゲート」
あなたがもしまだアゲートの魅力に気づいていないなら、是非一度アゲートの世界を覗いてみることをおススメします。
「不思議で奇麗な石の本 縞と色彩の石アゲート」
著者:山田英春
出版社:創元社
奇麗という造語、アゲートにピッタリな表現ですね。