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【ジュエリー本No.9】真珠を真剣に考える「Japan Precious No.102」2021年夏号

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1年前、Japan Preciousという業界誌を紹介しました。

 

jewelry-foto.hatenablog.com

 

おそらく業界の人以外は手に取らないし、本屋にもあまり並んでいない雑誌。

季刊誌で、雑誌としてはまぁまぁの値段(2000円+税)がするこの「Japan Precious」に、今年もまた真珠NAVIの時期がやってきました!

 

 

内容は、これからの業界をどうするか! 新しい試みはこれだ! みたいな硬いお話。

でも私は、今年もいろんな角度から真珠を楽しませていただきました。

 

もちろん目的は、真珠の写真。

プロ業界人がプロ業界人に見せるための、真珠の写真。

美しい映り込みの世界を、堪能したいと思います。

 

 

真珠特集を読むと真珠鑑定書の是非が脳裏をよぎる

 

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真珠写真の話の前に。

今回の真珠NAVIで、「鑑定書に頼らず、花珠という言葉も使わないで真珠の魅力を伝える」ことを実践されている会社様が、紹介されていました。

 

この記事を読み、最近の鑑定書頼みの真珠販売のあり方について、改めて考えてみました。 

実は真珠鑑定書と花珠の問題は、真珠を扱う会社が真剣に向き合わなくてはならない大きな問題なんです。

 

いつの間にか台頭してきた花珠鑑定書

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鑑定書とは、宝石の品質について書かれた書面のことです。

類似の言葉に鑑別書というものがありますが、両者の違いはそのうち語ろうかな、と思います。

とりあえず、鑑定書はその宝石の品質について書かれたものだと思ってください。

 

数年前まで、「鑑定書と言えば、ダイヤモンド鑑定書のことを指す」と言っても過言ではありませんでした。

要はダイヤモンド以外に、品質を証明する書面などほとんどなかったんです。

ところが、いつからか「真珠鑑定書」というものが現れ、今や「真珠鑑定書」なしでは真珠が売れないとも言われています。

いわゆる、花珠鑑定書というやつですね。

 

真珠鑑定書はプロからプロの力を奪う?

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正直、私は真珠鑑定書の存在は、良くないと考えています。

いろいろと思う所はありますが、何より大きい理由は「プロの眼力を奪う」から。

 

もともと真珠を販売する人達は、自身の目で品質を見定めて、それをお客様に説明できていた。そんなことは、出来てあたりまえのスキルだったんです。

なのに最近、「真珠鑑定書がないと売買できない」というプロの方がいらっしゃいます。

 

そもそもは、「鑑定書が付いている方が、一般の方にわかりやすい」という意味で、真珠鑑定書が作成されていました。

なのに、いつの間にか売買の場で「鑑定書がないと(小売で)売りにくい」となり、最終的に「鑑定書がない真珠は売れない」へと変わっていきました。

 

なんで、鑑定書がないと売れないんですか? 真珠のプロが、お客様相手に真珠の品質説明すらできないのですか?

真珠鑑定書に頼りすぎて、プロの眼力、プロの説明力が失われつつある。最近はそんな危機感すら、感じるようになりました。

 

「これは花珠の鑑定書があるから、いい真珠なんです」

そんな素人のような説明で一般の方に真珠の魅力が伝わるとは、到底思えないのです。

そもそも、自社で扱う商品の品質説明を、他社(鑑定会社)に委ねて良いんでしょうか?

 

鑑定書の有無を必要以上に重視しないで欲しい

もともと鑑定書を書く仕事をしていた人間が、こんなこと言うのもおかしな話ですが。

鑑定書なんて所詮は紙切れ、箪笥の邪魔者です。

身に着けることなんてできません。

ジュエリーの本体はジュエリー。

だから、買う側の人も鑑定書を過度に重要視する必要はありません。

 

今回紹介されていた会社様のように、店主や店員がしっかりと真珠の説明をしてくれるお店。

そういうお店で、真珠を購入することを強くお勧めします。

 

 

 

~まじめな話をした後は、甘いものを食べてお口直しを~

 

 

 

やっぱりMIKIMOTO、TASAKIの真珠写真は美しい

 

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真面目な話はここまでにして。

お楽しみの真珠写真です。

 

今回も、雑誌巻頭特集では「至極のパールコレクション」として、ハイジュエラーの真珠ジュエリーが多数掲載されています。

中でもやっぱり、日本の真珠大手の写真は安定の美しさがありますね。

 

最近、真珠の映り込みについて考える記事を書いたので、今回はつい真珠の中(映り込み)ばかりに目が向いてしまいました。

 

jewelry-foto.hatenablog.com

 

一体どういう配置で置いたら、このような映り込みになるのか?

ジュエリーをどんな風に囲っているのか? 照明の位置は?

など、変な方にばかり気が向いてしまう。

 

大きく分けると、写真撮影用照明ライトを1つだけ使うジュエラーと、複数使うジュエラーがあるのかな?

 

 

↑こういう照明アイテムが、真珠に映り込んでいるように見えます。

 

そんな照明の映り込みは、映り込んだ数によって、ジュエリー全体の見え方にも影響を及ぼすようです。

1つの場合は、穏やかな印象の真珠ジュエリーに。

複数の場合は、キラキラと輝く真珠ジュエリーに。

 

今度真珠映り込み写真を撮るときは、光源の数を変えてみるのも面白いかもしれませんね。

 

屋外撮影の真珠には空が映り込んでいる

 

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養殖場にスポットを当てた記事に載っていた真珠写真には、屋外であることが分かる映り込みがありました。

 

写真には真珠と真珠母貝(真珠養殖に使う貝)だけしかなく、背景は白、というシンプルな写真です。

なのにその写真からは、どこか雄大な印象を受ける。

よくよく目を凝らして真珠を見て見ると、空と、太陽が映っているんです。

 

屋内で撮影されたジュエリーとの差は、映り込みくらいなもの。

なのに、太陽に照らされたその写真は、屋内撮影のジュエリーとはまた違う美しさがありました。

  

屋外撮影か…………これも、次回の真珠映り込み写真の課題に加えておこうかな。

 

真珠一色の業界誌は、真珠について考えさせられる一冊

 

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今回の真珠NAVI。

写真のことだけではなく、真珠のあれやこれやを真剣に考える一冊でした。

 

おそらくこの雑誌は一般の方が購入しても、専門的過ぎて内容がよくわからないと思います。

でも、業界の人、特に真珠を扱う人は、もう一度自身の仕事について考えるきっかけとなる一冊になっていました。

 

若輩ながら、私も今日は真珠のあれやこれやについて、よくよく考えてみようと思います。

 

 

「JapanPrecious No.102

発行:株式会社 矢野経済研究所

出版社:サンクチュアリ出版