刻印は、ジュエリーにだけ打刻されるわけではありません。
例えばカラトリー。
スプーンやフォークの後ろにも、刻印はあります。
お土産物のピンバッジの後ろ。
全てに打刻されている訳ではありませんが、よく見ると刻印のあるピンバッジもあります。
そして、もう一つ。
ジュエリーに近い存在で、ものすごく刻印がいっぱいあるアイテム。
それは、腕時計です。
今回は刻印がいっぱいの、腕時計のお話です。
腕時計の刻印を見てみよう
腕時計の文字盤の裏には、結構たくさんの刻印があります。
特にハイブランドの時計は、文字盤の裏面にブランド名やコレクション名が刻印されていますよね。
この写真の腕時計は、私の母が若い頃に購入した時計だそうです。
今も現役であり、現在私がちょくちょく使用しています。
今やヴィンテージ物と言っても過言ではない、古い腕時計ですね。
少し汚れている点も、歴史を感じる?
いえ、手入れを怠っているだけです。
一番上に記載されたブランド名
刻印:Cartier
これは、説明不要ですね。
一番上の刻印は、時計のブランド名を表しています。
Parisの下、二か所の凹み(?)が見えますが、これも刻印です。
QUARTZとはクオーツ時計の意味
クォーツ時計とは、簡単に言うと電池で動く時計です。
水晶振動子を用いているので、水晶=QUARTZ。
これに対して、ゼンマイを巻いて動く時計のことは機械式時計といいます。
手巻きとか自動巻きとか、そういう時計です。
アトケイは怪しい刻印?
刻印について書かれているサイトを閲覧していると、「こういう刻印は要注意」といった記事があります。
中でもよく目にするのは、「アトケイ」という刻印に関する記事。
アトケイとは、K18の「K」の文字が、18の後ろについている刻印(=18K)のことです。
こういった刻印は、確かに18金ではない場合もあります。
ですが、アトケイ=必ず偽物である、という意味ではありません。
現にこの時計の刻印をご覧ください。
母がCartierで購入し、更にCartier直営店に持ち込み、何度か修理を行っています。つまり、正真正銘Cartierの正規品で、18金製。
で、刻印はアトケイなんですよね。
こういった場合は、例えアトケイであっても、ちゃんと18金製ですよ。
多くの時計のふるさとスイス
時計と言って思い起こす国、と言えばスイス。
スイスと時計の歴史は、16世紀まで遡ることができます。
でも今回は遡りません、刻印の話なので。
こちらの時計も、どうやらスイス製のようです。
SWISS MADEの文字が刻印されていますね。
母のCartier時計に起きた悲劇
このカルティエの時計には、悲しい過去があります。
こちらの時計がK18製であることは、先ほど説明をいたしました。
かつて私が直営店へ修理持ち込みをした時も、担当者さんからそのように説明を受けました。
その説明の際に、とんでもない事実が分かったのです。
腕時計のチェックの最中、
「革ベルトを止めるバックル部分の金属、本物じゃないです」
といった旨のことを説明する、担当者さん。
どうやら、本来K18であるはずのバックルが、金メッキの偽物だったようで………
………………………
………………
………ん?
なんですって?
「革ベルトを止めるバックル部分の金属、本物じゃないです」
!?
実は過去に直営店以外での修理経験があった
K18製のCartier社腕時計。
革ベルト。
そこには、金色のバックルがついている。
偽物の、バックルが。
母もバックルについては、全く気付いていなかったようです。
もともとは、母が学生時代に旅行先で購入したCartier。
その後は結婚&出産で、時計をつけて出かけることもなく、ほとんどタンスの中にあったようです。
その間も何度か電池交換の経験があったようですが、いつどこで修理したかまでは覚えていない。
結局すり替えられたのがどのタイミングなのか、最後までわかりませんでした。
でもまあ、本体は本物だから、とそのまま使っています。
ただ、最近バックルの金メッキが、剥げてきてるんですよね。
悲しいでしょう?
腕時計を裏返してみよう
腕時計の裏側は、刻印の宝庫です。
ブランド名や、使用されている金属、更には時計のシリーズ名や、識別ナンバー。
一見何を意味する刻印かわからない数字の羅列も、その時計にとっては無くてはならない刻印であることも。
あなたの時計には、どのような刻印がありましたか?
腕時計刻印を確認して、あなたの時計をもっと楽しんでみてください。
時には、私の母のように、時計にまつわる悲しい物語を思い出すこともありますけどね。