前々回の刻印話で、海外メーカーの名前が打刻されているジュエリーを紹介しました。
↑ これです。
こういったメーカー名・ブランド名の刻印は、とても種類が多いです。
ジュエリーやその部品を作成した会社の刻印、有名ブランドの刻印。
また小規模な会社、無名な会社であっても、自社のブランディングの一環として、会社マークを打刻することもあります。
つまり、世界のジュエリー会社の数だけ刻印の種類がある、と言っても過言ではないのです。
そんなメーカー名・ブランド名の刻印は、全部覚えきれるわけがありません。
もちろん、刻印をみてメーカー名・ブランド名を見分けるのも大変。
メーカー刻印はその刻印を知っているかどうかが重要
まず、メーカーの刻印は、その刻印自体を知っているかどうかが、何よりも重要です。
刻印という小さな範囲で社名を表す、メーカー刻印。
当然メーカー名全てが記載されている訳ではなく、その表現は簡略化されています。
この刻印をご覧ください。
右側にあるのが、「ヴァンドーム青山」の刻印です。
VとAがちょっぴり重なったデザインですね。
知っている人が見れば、すぐ「ヴァンドーム青山」であるとわかります。
でも、VとAで表現できるメーカーなんて、たくさんありますよね。
例えば「Van Cleef & Arpels」の刻印が、V Aと書いてあってもおかしくはない。(もちろん、違うのですが)
他にもたくさん「V A」のメーカーは存在するでしょう。
だからこの刻印を知らない人が、VとAだけ見て「ヴァンドーム青山」にたどり着くのは、すごく難しいです。
メーカー名・ブランド名を刻印で判断するには、より沢山の刻印を知ることが重要です。
メーカー刻印を知らないと単純なミスが起こることもある
知らない刻印を見たとき、ネットを頼って検索することもあります。
たとえば、先ほどの「ヴァンドーム青山」の刻印であれば、「V A 刻印 ジュエリー」などで検索すると、答えにたどり着けます。
ところが、単純なミスのせいで、どんなに検索しても答えにたどり着けないことがあります。
この刻印には、ひし形に囲われた中にSNとありますね。
こちらの刻印は、「中川装身具工業株式会社」の刻印です。
ジュエリーパーツなどを作成する、業界では老舗のメーカーさんです。
「な(N)かがわそ(S)うしんぐこうぎょう」
「な(N)かがわそ(S)うしんぐ」
………………
「NS」!!
つまり、SNじゃなくて、NS。
上の写真は、逆さまに見ているということです。
いくつかのアルファベットは、逆さまにしても文字が読めてしまいます。
この例の場合は、刻印も読みやすく、デザインも単純なので、「S N 刻印 ジュエリー」でも答えを知ることは出来ます。
でも、複雑なデザインや擦り切れて読みにくい刻印の場合、見る方向を間違えれば永遠に答えにはたどり着けないでしょう。
刻印を見て、メーカー名を知るのは、意外と難しいことなんですよ。