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【刻印の世界No.5】ジュエリー・アクセサリーに使われる貴金属刻印一覧

今回はいつもよりも、専門的で役立つ情報をまとめてみました。

「貴金属に関する刻印の一覧表」

 

貴金属刻印って、なんだか複雑ですよね。

この刻印に書いている文字はどういう意味なの?

私のジュエリーは本物なの?

そんな悩みを少しでも払拭できるように、できるだけ簡素に、でもできるだけ詳しく、貴金属刻印一覧を作成しました。

 

 

あなたの手元にある貴金属刻印は、どういう意味なのか。

是非、表を見て確認してみてください。

 

 

金(ゴールド)ジュエリーの貴金属刻印

 

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はじめは金、ゴールドに関する刻印です。

ここでの「金、ゴールド」とは、色のことではなく金属の名前のこと

つまり見た目が金色でないホワイトゴールドも、「金、ゴールド」の括りに含まれています。

 

金の刻印は「金の含有率」「金の色味」の、2種類の刻印を組み合わせることで表現します。

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

金の含有率に関する刻印

刻印の種類 金の含有率
K24/24K/24KT/24KP
純金
999/Au999
99.9%
万足金 およそK24くらい
K22/22K/22KT/22KP
916/Au916
91.6%
千足金 およそK23~K22くらい
K20/20K/20KT/20KP 83.3%
足金 およそK20くらい
K18/18K/18KT/18KP
750/Au750
75%
K14/14K/14KT/14KP
585/Au585
58.5%
K10/10K/10KT/10KP 41.6%

 

 金の含有率に関する刻印は、沢山あるように思いますが、ルールは簡単。

  • 24分率の場合、数字の前もしくは後ろに「K」が付く
  • 「K」の代わりに、数字の後ろにKTもしくはKPが付く場合もある(KTはKaratの略語、KPはKarat Plumbの略語)
  • 千分率で表記する場合は数字のみであることが多い
  • ただし千分率表記の場合は、頭に金の化学記号「Au」を付ける方が望ましい

 

日本国内で生産されたゴールドジュエリーは、頭にKが付く24分率での刻印が一般的です。

つまりそれ以外の刻印が打刻されていれば、そのジュエリーは海外製である可能性が高くなります。

 

漢字表記の万足金、千足金、足金というのは、主に中国で使用されている刻印です。

足金の場合、商品によって金含有率に幅があるので、含有量は「およそ」と記載しています。

 

金の色味に関する刻印

金の色味 刻印
イエローゴールド YG
ホワイトゴールド WG
ピンクゴールド PG
レッドゴールド RDG
グリーンゴールド GRG
グレーゴールド GG

 

金の色味に関する刻印は、単純にそれぞれの英語表記の略語を使用します。

 

先ほどの金の含有率の刻印と組み合わせることで、金に関する刻印が完成します。

ただし、どちらか一方の刻印しかない場合もあります。

WGのみ、K18のみ、などです。

 

どちらか片方だけの刻印は要注意?

それほど気にする必要はないのですが、含有率と色味の一方だけ刻印があるゴールドジュエリーには、次のような可能性が考えられます。

 

  • K18とだけ刻印されているイエローゴールドカラーのジュエリー → 合金の配合率が、イエローゴールドに該当していない。何の問題もない。
  • WGとだけ刻印されているジュエリー → (多くの場合はK18もしくはK14と考えられるが、)本当の含有率は不明。大きな問題はない。
  • K18とだけ刻印されたピンクゴールドジュエリー → K18YGの表面に、K18PGメッキをしている可能性がある。「え?なんで?」って思う。

 

初めに断っておきますが、ピンクゴールドジュエリーにPGと刻印がなくても、ほとんどの場合は何の問題もありません。

単に「PG」と打刻していないだけです。

 

でもね、ごく稀にあるんですよ。金に金メッキしているジュエリー。

 

通常金メッキとは、安価な金属の表面に金を吹き付け、高価な金ジュエリーに見せかける加工です。

だから、中身に高価な金を使用してるなら、そもそもメッキをする意味がありません。なのに、メッキされている。

 事情は色々あるでしょうが、「え? なんでそんなことした?」の世界です。
 

白金(プラチナ)ジュエリーの貴金属刻印

 

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プラチナは漢字表記では白金(はっきん)と書きます。

「白い金=ホワイトゴールド」 と思いがちですが、白金はプラチナのことです。

紛らわしいですよね。

 

プラチナの場合は単純に、「Pt+プラチナ含有率」で表現されます。

 

プラチナ含有率 刻印
99.9% Pt999(昔のPt1000)
95% Pt950
90% Pt900
85% Pt850
85%? Pm850/PM850
80% Pt800
?? Pm/PM

 

Pmとは昔使われていたプラチナ刻印。

古い刻印であるため、含有率も疑問視されることが多いです。

そのためPm刻印に関しては、 含有率の欄に「?」を付けています。

 

ちなみに、Pmとは「promethium」という銀色金属の元素記号でもあります。

ですがこれは、古いプラチナがプロメチウム製だという意味ではありません。

経緯は、

 

もともとプラチナのことを「Pm」と表記していた

プロメチウムという元素が発見される

1960年頃、元素記号「Pm」が国際規格として誕生

紛らわしいから、 プラチナは「Pm」じゃなくて「Pt」に変更

 

何かかわいそうですね。Pm。

 

銀(シルバー)ジュエリーの貴金属刻印 

 

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シルバーもプラチナと同様、刻印は基本的に「Silver(Sv/Ag)+含有率」で表現されます。

 

シルバー含有率 刻印
99.9% Silver999/Sv999(昔のSv1000)
純銀
95% Silver950/Sv950/Ag950
92.5% Silver925/Sv925/Ag925
Sterling/925
90% Silver900/Sv900/Ag900
80% Silver800/Sv800/Ag800
92.5%以上 Silver/Sv/S

 

プラチナと一つ異なる点は、含有率「92.5%」の部分にある「Sterling」の刻印ですね。

スターリング(またはスターリングシルバー)とは、92.5%の銀に7.5% の銅を混ぜた銀銅合金のことです。

 

他の割合の銀合金にも、「スターリング」のような固有名称が付いているものもあります。

ただし、ジュエリー・アクセサリーの世界では、スターリング以外の名称の刻印はあまり使用しません。

 

また、スターリングは上に書いた配合の銀銅合金のことを指すのですが、割合が違う銀合金にも、スターリングの刻印が入っている場合があります。

スターリングという用語に明確なルールが定められているわけではないので、スターリングの刻印があったら「92.5%くらいは銀で出来ているんだな~」程度に考えると良いですよ。

 

刻印してよいのは一番含有量の多い貴金属

 

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ここまで、金、プラチナ、銀に関する刻印を見てきました。

これらの金属刻印には、もう一つ共通する大切なルールがあります。

 

それは、「主たる貴金属に関する内容を表示する」という点です。

つまり「合金中で一番含有量が多い金属に関する刻印を打ちなさい」ということです。

 

K18やPt900、Sv925など、明らかに含有率50%以上の刻印である場合は気にしなくて良いです。

だって、他にどんな金属をどんな割合で混ぜても、完成した合金は絶対に刻印金属の含有量が最多になりますから。

 

問題は、50%以下の場合。

 

たとえば、K10の場合で見てみましょう。

K10という刻印は「41.6%が金」、という意味です。

つまり、残りの58.4%は別の金属ということになりますよね。

もしも、この残りの金属が全て「銀」であったら、この合金で最も含有量の多い金属は銀になります。

この場合、「K10」という刻印は使用できません。

 

ジュエリーの貴金属刻印で抑えておくべきなのはこれだけ!

 

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金、プラチナ、銀に関する刻印を一覧でまとめました。

いろいろと細かいことを書きましたが、要は、

 

  • 金は「含有率」「金の色」の刻印で構成されている
  • 金の含有率は、24分率表記千分率表記がある
  • プラチナは、「Pt+千分率」
  • 昔はプラチナにPmという表記があった
  • 銀は、「Slver/Sv+千分率」
  • 銀には「Sterling」という固有名称の刻印もある
  • 合金中で一番量の多い金属の刻印を打刻すること

 

これくらいを覚えておくと、十分です。

 

で。

問題はこれからですよね。

メッキの刻印について。

 

メッキ刻印にどのようなものがあるのか、これが分からないと貴金属とそれ以外の金属の区別がつきません。

 

今回は長くなってしまったので、メッキに関する刻印については、次回ご紹介いたします。

 

 

(この記事は、一般社団法人日本ジュエリー協会(JJA)発行、『ジュエリー及び貴金属製品の素材等の表示規定 2017(平成29)年度改訂版』を参考にしています)