今回はいつもよりも、専門的で役立つ情報をまとめてみました。
「貴金属に関する刻印の一覧表」
貴金属刻印って、なんだか複雑ですよね。
この刻印に書いている文字はどういう意味なの?
私のジュエリーは本物なの?
そんな悩みを少しでも払拭できるように、できるだけ簡素に、でもできるだけ詳しく、貴金属刻印一覧を作成しました。
あなたの手元にある貴金属刻印は、どういう意味なのか。
是非、表を見て確認してみてください。
- 金(ゴールド)ジュエリーの貴金属刻印
- 白金(プラチナ)ジュエリーの貴金属刻印
- 銀(シルバー)ジュエリーの貴金属刻印
- 刻印してよいのは一番含有量の多い貴金属
- ジュエリーの貴金属刻印で抑えておくべきなのはこれだけ!
金(ゴールド)ジュエリーの貴金属刻印
はじめは金、ゴールドに関する刻印です。
ここでの「金、ゴールド」とは、色のことではなく金属の名前のこと。
つまり見た目が金色でないホワイトゴールドも、「金、ゴールド」の括りに含まれています。
金の刻印は「金の含有率」と「金の色味」の、2種類の刻印を組み合わせることで表現します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
金の含有率に関する刻印
刻印の種類 | 金の含有率 |
K24/24K/24KT/24KP 純金 999/Au999 |
99.9% |
万足金 | およそK24くらい |
K22/22K/22KT/22KP 916/Au916 |
91.6% |
千足金 | およそK23~K22くらい |
K20/20K/20KT/20KP | 83.3% |
足金 | およそK20くらい |
K18/18K/18KT/18KP 750/Au750 |
75% |
K14/14K/14KT/14KP 585/Au585 |
58.5% |
K10/10K/10KT/10KP | 41.6% |
金の含有率に関する刻印は、沢山あるように思いますが、ルールは簡単。
- 24分率の場合、数字の前もしくは後ろに「K」が付く
- 「K」の代わりに、数字の後ろに「KT」もしくは「KP」が付く場合もある(KTはKaratの略語、KPはKarat Plumbの略語)
- 千分率で表記する場合は数字のみであることが多い
- ただし千分率表記の場合は、頭に金の化学記号「Au」を付ける方が望ましい
日本国内で生産されたゴールドジュエリーは、頭にKが付く24分率での刻印が一般的です。
つまりそれ以外の刻印が打刻されていれば、そのジュエリーは海外製である可能性が高くなります。
漢字表記の万足金、千足金、足金というのは、主に中国で使用されている刻印です。
足金の場合、商品によって金含有率に幅があるので、含有量は「およそ」と記載しています。
金の色味に関する刻印
金の色味 | 刻印 |
イエローゴールド | YG |
ホワイトゴールド | WG |
ピンクゴールド | PG |
レッドゴールド | RDG |
グリーンゴールド | GRG |
グレーゴールド | GG |
金の色味に関する刻印は、単純にそれぞれの英語表記の略語を使用します。
先ほどの金の含有率の刻印と組み合わせることで、金に関する刻印が完成します。
ただし、どちらか一方の刻印しかない場合もあります。
WGのみ、K18のみ、などです。
どちらか片方だけの刻印は要注意?
それほど気にする必要はないのですが、含有率と色味の一方だけ刻印があるゴールドジュエリーには、次のような可能性が考えられます。
- K18とだけ刻印されているイエローゴールドカラーのジュエリー → 合金の配合率が、イエローゴールドに該当していない。何の問題もない。
- WGとだけ刻印されているジュエリー → (多くの場合はK18もしくはK14と考えられるが、)本当の含有率は不明。大きな問題はない。
- K18とだけ刻印されたピンクゴールドジュエリー → K18YGの表面に、K18PGメッキをしている可能性がある。「え?なんで?」って思う。
初めに断っておきますが、ピンクゴールドジュエリーにPGと刻印がなくても、ほとんどの場合は何の問題もありません。
単に「PG」と打刻していないだけです。
でもね、ごく稀にあるんですよ。金に金メッキしているジュエリー。
通常金メッキとは、安価な金属の表面に金を吹き付け、高価な金ジュエリーに見せかける加工です。
だから、中身に高価な金を使用してるなら、そもそもメッキをする意味がありません。なのに、メッキされている。
事情は色々あるでしょうが、「え? なんでそんなことした?」の世界です。
白金(プラチナ)ジュエリーの貴金属刻印
プラチナは漢字表記では白金(はっきん)と書きます。
「白い金=ホワイトゴールド」 と思いがちですが、白金はプラチナのことです。
紛らわしいですよね。
プラチナの場合は単純に、「Pt+プラチナ含有率」で表現されます。
プラチナ含有率 | 刻印 |
99.9% | Pt999(昔のPt1000) |
95% | Pt950 |
90% | Pt900 |
85% | Pt850 |
85%? | Pm850/PM850 |
80% | Pt800 |
?? | Pm/PM |
Pmとは昔使われていたプラチナ刻印。
古い刻印であるため、含有率も疑問視されることが多いです。
そのためPm刻印に関しては、 含有率の欄に「?」を付けています。
ちなみに、Pmとは「promethium」という銀色金属の元素記号でもあります。
ですがこれは、古いプラチナがプロメチウム製だという意味ではありません。
経緯は、
もともとプラチナのことを「Pm」と表記していた
↓
プロメチウムという元素が発見される
↓
1960年頃、元素記号「Pm」が国際規格として誕生
↓
紛らわしいから、 プラチナは「Pm」じゃなくて「Pt」に変更
何かかわいそうですね。Pm。
銀(シルバー)ジュエリーの貴金属刻印
シルバーもプラチナと同様、刻印は基本的に「Silver(Sv/Ag)+含有率」で表現されます。
シルバー含有率 | 刻印 |
99.9% | Silver999/Sv999(昔のSv1000) 純銀 |
95% | Silver950/Sv950/Ag950 |
92.5% | Silver925/Sv925/Ag925 Sterling/925 |
90% | Silver900/Sv900/Ag900 |
80% | Silver800/Sv800/Ag800 |
92.5%以上 | Silver/Sv/S |
プラチナと一つ異なる点は、含有率「92.5%」の部分にある「Sterling」の刻印ですね。
スターリング(またはスターリングシルバー)とは、92.5%の銀に7.5% の銅を混ぜた銀銅合金のことです。
他の割合の銀合金にも、「スターリング」のような固有名称が付いているものもあります。
ただし、ジュエリー・アクセサリーの世界では、スターリング以外の名称の刻印はあまり使用しません。
また、スターリングは上に書いた配合の銀銅合金のことを指すのですが、割合が違う銀合金にも、スターリングの刻印が入っている場合があります。
スターリングという用語に明確なルールが定められているわけではないので、スターリングの刻印があったら「92.5%くらいは銀で出来ているんだな~」程度に考えると良いですよ。
刻印してよいのは一番含有量の多い貴金属
ここまで、金、プラチナ、銀に関する刻印を見てきました。
これらの金属刻印には、もう一つ共通する大切なルールがあります。
それは、「主たる貴金属に関する内容を表示する」という点です。
つまり「合金中で一番含有量が多い金属に関する刻印を打ちなさい」ということです。
K18やPt900、Sv925など、明らかに含有率50%以上の刻印である場合は気にしなくて良いです。
だって、他にどんな金属をどんな割合で混ぜても、完成した合金は絶対に刻印金属の含有量が最多になりますから。
問題は、50%以下の場合。
たとえば、K10の場合で見てみましょう。
K10という刻印は「41.6%が金」、という意味です。
つまり、残りの58.4%は別の金属ということになりますよね。
もしも、この残りの金属が全て「銀」であったら、この合金で最も含有量の多い金属は銀になります。
この場合、「K10」という刻印は使用できません。
ジュエリーの貴金属刻印で抑えておくべきなのはこれだけ!
金、プラチナ、銀に関する刻印を一覧でまとめました。
いろいろと細かいことを書きましたが、要は、
- 金は「含有率」と「金の色」の刻印で構成されている
- 金の含有率は、24分率表記と千分率表記がある
- プラチナは、「Pt+千分率」
- 昔はプラチナにPmという表記があった
- 銀は、「Slver/Sv+千分率」
- 銀には「Sterling」という固有名称の刻印もある
- 合金中で一番量の多い金属の刻印を打刻すること
これくらいを覚えておくと、十分です。
で。
問題はこれからですよね。
メッキの刻印について。
メッキ刻印にどのようなものがあるのか、これが分からないと貴金属とそれ以外の金属の区別がつきません。
今回は長くなってしまったので、メッキに関する刻印については、次回ご紹介いたします。
(この記事は、一般社団法人日本ジュエリー協会(JJA)発行、『ジュエリー及び貴金属製品の素材等の表示規定 2017(平成29)年度改訂版』を参考にしています)