今回撮影した写真は、こちらです。
何の変哲もない、白背景で撮影した黒蝶真珠、に見えますよね?
ではこっちの写真はどうでしょうか?
別の真珠の写真?
いいえ、これは背景を変えただけの、同じ黒蝶真珠の写真です。
色の錯視じゃないですよ。もちろん、画像の加工もほとんどしていません。
なのに、こんなにも色が違って写る。
黒蝶真珠を単体で撮影すると、こういったことが起こります。
(肉眼で見たこの真珠の本当の色は、大体この2枚の写真の中間くらいの色味です)
おそらくカメラの設定をほぼオートにしているせいで、このような色の違いが起こっているのでしょう。
今回はこの黒蝶真珠と背景の関係について、考えていきます。
使用した道具は、画用紙、卓上照明、黒い手袋
撮影の様子はいつもと同じです。
真珠は映り込みがあるので、できるだけ周囲はシンプルに。
周りを白で囲いすぎるのもダメです。白ばかりが映り込むと、真珠の色も変わってしまいます。
適度に周囲を写してあげる方が、自然な真珠の輝きを撮影できますよ。
真珠の映り込みに関しては、こちらの記事も参考にどうぞ↓
一つ注意したいのは、今回の撮影は黒蝶真珠であるということ。
黒蝶真珠=黒い真珠。
黒地であるため、周囲の白いものや明るい色のものは、白系の真珠よりもはっきりと映り込んでしまいます。
特に撮影者。
思っている以上に、人間は白いです。
そのため、今回は撮影用セットではなく、撮影者の方に工夫をしました。
真珠撮影時には真珠の色と同色の服を着る
真珠に自分の姿が映り込むのであれば、映り込んでも目立たない色になればいいんです。
白い真珠の撮影時には、白っぽい服を着る。
黒い真珠の撮影時には、黒っぽい服を着る。
髪の色や肌の色など、変えようのない箇所は仕方ないにしても、服の色位なら変えられます。
何も全身着替える必要なんてありません。せいぜい上着だけ。
私は、白い真珠の場合は白パーカーを、黒い真珠の場合は黒パーカーを着ています。
パーカーを選んだのは、フードが付いているから。
髪の色を隠したい場合も、フードなら隠せます。
黒蝶真珠の撮影に黒手袋は役立つ
黒蝶真珠の撮影時にあると便利なアイテム。それは、黒い手袋です。
夏場や半袖を着ている場合は、肘近くまである長い手袋がおすすめ。
先ほど真珠に合わせて服を着替えると言いましたが、実は服についてはあまり大袈裟に考える必要はありません。
最悪着替える服がなければ、被写体から少し離れるだけでも十分です。
ですが、カメラを持つ手はそうはいきません。
手はどうしても、被写体に近づきます。そして、かなりくっきりと真珠に映り込みます。
特に黒蝶真珠が被写体の場合は、ちゃんと「手」とわかるように映り込む。
こんな風に。
撮影時の手が映り込むなら、三脚を使えばいいんじゃない? と思いますよね。
でも撮影の際にカメラ角度を少しずつ変える私の撮影方法では、三脚はとにかくメンドクサイ。わずかに動かす度にセットし直すのは、想像しただけでメンドクサイんです。
それに、黒い真珠用に黒い三脚、白系真珠用に白い三脚を用意していたら、お金だってかかります。
この手の映り込みを解消するために用意するのが、黒手袋。
黒手袋をつけた状態で撮影すると、見事に手が写らなくなります。
一番良いのは、夏場に女性が使用するような、アームカバー。
もちろん、指先までしっかりとあるタイプですよ。指が出ていたら意味がない。
こういうタイプのものが良いですね。
黒蝶真珠の撮影の最大の難関は色
真珠の撮影では、背景の色が真珠の色に大きな影響を与えます。
裏を返すと、どんな色の背景で撮影しても、真珠に何らかの影響を与えてしまうということ。
だから、写真で本当の真珠の色を表現するのは、とても難しいことなんです。
特に黒蝶真珠の場合、背景の色によっては、真珠と背景のコントラストが強くなりすぎることがあります。
初めの写真、白背景で撮影した黒蝶真珠が黒く写りすぎているのは、コントラストの問題なのでしょう。
逆に背景を黒にすると、淡い銀色のようになってしまいました。
このように、本来の色味を写真で出すのはなかなか難しいです。
色々な背景で比べ、真珠の色ごとにベストな背景色を見つけ出す。これが真珠を美しく撮影するコツといえるでしょう。
今回は実験として、様々な色の背景を用意し、それぞれ黒蝶真珠がどう映るのかを比較してみました。
使用するのはこの背景
今回比較のために用意したのは、上の5枚の様々な(家にあった)背景用紙。
- 淡いピンクの和紙
- 黒の画用紙
- 赤く薄い梱包用紙
- くすんだオレンジ色の半紙
- 茶封筒
この5枚に加えて、白画用紙で撮影しました。
それぞれの写真を比較してみましょう。
真珠下半分に背景色が映り込む
どうでしょう?
念のために言っておきますが、全部同じ真珠です。
注目するのは、真珠下半分の映り込み。
背景用紙が映り込んでいて、真珠全体の色に影響を及ぼしています。
例えば色の強い赤の背景は、真珠にもはっきり赤く映り込んでいます。
ところが黒背景は、真珠に映り込んでいることがほとんどわかりません。
黒背景の写真では、映り込んだ背景の「黒」と黒蝶真珠の「黒」とが馴染んでいるのですね。
また黒背景以外の真珠には、中央部分により深い黒色部が出来ています。
この黒色部は撮影している部屋の様子。(暗闇で撮影したわけではありませんよ!)
おそらく背景用紙と室内の明暗差が大きいので、黒くなっているのでしょう。
真珠撮影で使う背景の色に正解はない
どの背景色が正解、というものはありません。
そもそも、どの写真も大なり小なり元の真珠色とは異なっています。
1つ断っておくと、私はネットで真珠を販売する業者ではありません。
私にとっては、いかに美しい真珠を撮影するかが重要なので、正直実物の色と多少異なっていても構わないんです。
だから、いろいろな色で撮影して楽しんでいます。
でも、ネット販売する真珠屋さんにとっては、本物と色が異なっていたら大問題ですよね。
どうすれば、写真で本来の真珠の色を表現できるか。日々苦労なされていることでしょう。
今回の撮影で、真珠撮影の難しさが改めて浮き彫りになりました。
【写真No.19】黒蝶真珠×白背景 完成
今回は、この写真を選択しました。
でも先ほども書いたように、この背景色を選ぶのが正解だという答えはありません。
いろいろな背景色を試して、一番自分の納得いく写真を撮影する。
真珠の色を出来るだけ現物に近づけるのか、それとも写真全体の仕上がりを美しくするのか。
真珠撮影は本当に難しいですね。
ちなみに、なんとなく撮影したこの写真も、今回のお気に入り↓
ボトルガムをひっくり返して、撮影
撮影商品&使用道具
撮影商品
- 黒蝶真珠 16.4mm珠
使用道具
- 色々な紙
- 卓上照明
- 黒手袋
そういえば、一つ説明漏れが。
今回の黒蝶真珠、実はかなり大きな真珠を使用しました。
通常、黒蝶真珠と言えば、10mm台前半。
でもこの真珠は16mmを超えた、超大珠。普通の黒蝶真珠と比較すると、こんな感じです。
右が今回の黒蝶真珠。
昔、縁日で売ってた「どんぐりあめ」くらいの大きさ、と言ったらピンと来ますか?
私はぶどう味が好きだったなぁ(笑)