今回の写真は、こちらです。
アコヤ真珠ネックレスの写真、なのですが。
正直に言うと、普段このブログで紹介しているアコヤ真珠写真と比べて、格段に魅力がないですよね。
↑ 普段の写真。
こんな感じの方が、ずっと”映え”ています。
それに比べて今回の写真はネックレスの一部を写した写真だから貧相に見えるし、何なら写真全体が少し暗く写ってる。
今回、この写真を紹介した理由は、ただ一つ。
真珠撮影の環境について、考えていきたいからです。
真珠を、真珠らしく美しく撮影する、ものすごく簡単な方法。
今回はそんな真珠撮影の環境について、考えていきます。
使用した道具は、画用紙と卓上ライトのみ
結論から言うと、真珠を撮影する場合は、出来るだけモノが無い方が美しく撮影できます。
特に貴金属がない真珠ジュエリーを撮影する場合、「極限まで撮影用道具を排除するべき」だと私は考えています。
撮影ボックスも、鏡も、出来るだけ無い方が良い。
上の写真のように、窓辺にある机に画用紙敷いて、その上に被写体を置くだけ。
画用紙のサイズは、被写体の大きさにもよりますが、4つ切りサイズがあれば大抵のジュエリーはカバーできます。
最近、真珠撮影の際は、いつもこの環境です。
お金はほぼかからないし、用意も簡単なので、当ブログの趣旨にピッタリ!
画用紙一枚な理由は、真珠の映り込みを美しく見せたいから。
光源に卓上ライト1つだけを使った理由は、余計な光源を真珠に映り込ませたくないから。
窓辺が良い理由は、卓上ライトだけだと光量たりないから。そして、空の色を真珠に映り込ませることが出来るから。
とりあえず、詳しく見ていきましょう。
道具を排除するのは映り込みを美しく見せるため
今回の写真、なんだか真珠が柔らかく見えませんか?
試しに、自作の撮影ボックス(いつもの白箱)+鏡を使った別写真と比較してみましょう。
随分前に紹介した写真です。
この写真、何だか真珠がギラギラしているように見えますよね。
以前の私は、真珠の映り込みに対して無関心だったので、ジュエリー撮影時は出来るだけ白ボックスに入れて鏡やライトを多用して撮影していました。
そのせいで、真珠がギラついてしまっています。
真珠リングの部分を拡大してみました。
ギラギラしている原因を検証してみましょう。
①白色の強い光が3つ集まっているので、ギラギラ感が出ている。
(赤い囲いの内側にある、3つの白色部)
②中央にカメラと手がうつっている。
(真珠真ん中の、ベージュっぽい箇所。これは私の撮影技術が低いからです)
③真珠の縁に白箱が映っているせいで、真珠の真ん中に不自然な四角い映り込みが生まれている。
(四角い囲いの部分。箱の中に入れてる感が出ていますね)
真珠は、柔らかな輝きが魅力のアイテム。
その輝きを表現するのに、ギラギラや角のある四角が映り込むのは良くない。
これに対して、今回の写真を見て見ましょう。
真珠中央に映り込む強い光は、卓上ライトの1点のみ。
いつもの黒手袋のおかげで、私の手も映っていません。(ちなみに、服装は黒系の長袖を着ました)
他の映り込みは、窓。そして隣の真珠。
こればっかりは、映り込んでも仕方がないし、消す訳にはいかないので、そのままにしています。
でも、下に敷いた画用紙は自然な曲線を描いていますよね。
おかげで、真珠の映り込みは全体的にカーブや丸形を描いています。
もちろん、よく見れば真珠リングの写真もカーブ状の映り込みになっています。
ですがどちらの方がより丸みを感じるか、と言われると、圧倒的に今回の写真だと思いませんか?
窓辺で撮影することで真珠に柔らかな輝きを与える
先程、窓は「映り込んでも仕方がない」と言いましたが、実は窓はわざと映り込ませています。
それは、真珠に空の色をうつしたいから。
もう一度、先ほどの写真です。窓の部分にご注目。
窓の映り込み部分、ほんのり水色を感じませんか?
窓辺で撮影したのは、卓上ライトのみでは足りない光量を補う為です。
ですが、光量が足りないからといって、蛍光灯のような白い光が真珠に映り込むと、その部分は当然白くなってしまいます。
白い映り込みだと、複数の卓上ライトを使用しているのと同じですよね。
ところが、窓の映り込みの場合、映り込む部分はわずかに空の色を帯びてくれます。
ほんの少し青味のある映り込みなので、卓上ライトの白い映り込みよりも柔らかな印象になります。
映り込みの形を柔らかくして、更には映り込みの色も柔らかくする。
そうすれば、写真に写った真珠全体の印象が柔らかくなりますよね。
ただし、窓の映り込みの色は撮影時間や天候に大きく左右されます。
理想的な時間と天候は、午前中&晴天~薄曇り。
もちろん、これ以外の天候・時間で撮影しても、また異なる雰囲気の写真になりますが、真珠の美しさを優先するなら上記の環境がおすすめです。
この環境で、大きな窓の窓辺であれば、空の色の映り込みになる確率が高まります。
【写真No.37】アコヤ真珠ネックレス 完成
今回は、真珠を真珠らしく美しく見せる方法について考えてみました。
真珠の美しさは、ダイヤモンドや他の宝石とは一味異なります。
強い輝きを放っていても、上品で落ち着きある柔らかさを兼ね備えている。
これを写真で表現するには、いろいろな工夫が必要です。
でも、どうせ工夫するなら出来るだけ簡単で簡素な方が良いですよね。
面倒な道具や、機材、複雑なテクニックは、プロのカメラマンさんの領分です。
そうじゃない私は、出来るだけ簡単で出来るだけお金をかけず、誰にでもできる手段を考えないといけない。
今回紹介した方法は、本当に簡単。
必要なのは、
- 卓上ライト以外は出来るだけ整理整頓した机
- 4つ切り画用紙(白)
- 午前中の晴れた窓辺
そう。まずは、お片付けが一番大切です。
撮影に夢中になって、いろんな道具を周りに広げて撮影してはいけないのです。
こんな風にね、撮影中に気が付いたらいろんなもの広げる癖のある人(私)は、とりあえず一旦落ち着いて、道具を片付けましょう。
そもそも、真珠ネックレスの撮影にピンセットっていらないのでは?
撮影商品&使用道具
撮影商品
- 真珠ネックレス
(撮影で使用したものは、実際には「ネックレス」ではなく、両穴真珠を糸で通したものです。
「とんでもなく短いネックレス」ではありません)
撮影道具
- 卓上ライト
- 4つ切り画用紙(白)
- 晴れた日の午前中
- 大きめの窓と明るいお空、片付いた卓上