ご覧の通り、2010年に撮影した写真です。
確か、年賀状などの季節の挨拶状を作成する際、撮影したものかと。
撮影時の正確なことは覚えていませんが、沢山の写真の中に残っていた一枚です。
この写真自体は、ジュエリーは全く綺麗に撮れていません。
背後に設置した2010のパネル? 用紙? にも汚れが見えますし、そもそも各ジュエリーにピントが合っていません。
今回なぜ、このような写真を出してきたのか。
それは、写っているジュエリーが素晴らしい仕上がりだったからです。
K18製ピエロペンダント兼ブローチ
このジュエリーは、かつて私が扱った商品です。
現在は完売し、手元には一つも残っていませんが、その細工が素晴らしかったことを覚えています。
K18製ピエロペンダント兼ブローチ。
(ペンダントとしても、ブローチとしても使用できるアイテムです)
貴金属製の顔は表情まで見事に作りこまれ、服の皺までも再現。
ピエロたちの足に使用された淡水真珠は、まるでこの作品のために養殖されたかのようですよね。
もちろん、真珠は偶然この形に生まれただけなんですよ。
その上、着用時は見えないジュエリーの裏側まで、しっかりと作りこまれていました。
どこから見ても、完璧なピエロジュエリーたち。
正に「ジュエリー」の名に相応しい、素晴らしいアイテムでした。
しかも、当時は今では考えられないほどの金額で、売買が出来たんです。
今またこの作品を作って欲しいと言われても、絶対にあんな金額で取引なんて出来ません。
素晴らしいジュエリーは細部を撮影しておくべき
先ほど述べたように、このジュエリーたちは、既に私の手元を離れています。
残っているのは、この写真を含めた、いくつかの画像記録のみ。
今となっては、実物を手に取って、肉眼で見ることは出来ません。
もちろん、私の仕事は宝石商なので、仕入れたジュエリーがいつまでも手元にあっては困るのですが。
それでも、このような素晴らしいジュエリーが完売すると、いつも思うのです。
もっと細部まで、写真に収めておけばよかった!
もっともっと、じっくりと見ておけばよかった!
近年、ジュエリー業界は不況の真っただ中です。
コロナよりもっと前から、右肩下がりが止まりません。
もちろん一部で景気の良いことを話している方も、居るには居ます。
けれど、残念ながら根本的なところでは、不況の底なし沼にはまり込んでいるのが現実。
そのため、ハイジュエリーを作れる腕の良い職人さんも、確実に減っています。
もうこのピエロジュエリーのような、ハイレベルな一点モノには中々出会えません。
だからこそ、このような素晴らしいジュエリーは、手元にある間に細部までしっかりと記録しておく必要があるのです。
たとえピンボケしていても消せない写真
ピエロペンダントの写真は、他にも何枚も残っています。
けれど、当時はそこまで細部を撮影する意識がなかったので、残っている写真のほとんどが、ジュエリー全体像を映した写真です。
細部の細かい写真は、残念ながら数えるほどしか残っていません。
だからこそ、数少ない記録であるこの写真も、消すことは出来ないのです。
写真の出来は悪くても、当時のジュエリーの記録が少しでもわかるのであれば、私にとっては大切な記録です。
ピントが合っていなくても、暗く映った写真でも、消せないし、消したくありません。
この写真は、そんな大切な私の宝物なのです。