久しぶりに、漫画の紹介です。
宝石商のメイド
表紙が醸し出す雰囲気が作品中にも満ちているので、「表紙が好き!」と思う人ならおすすめの一冊ですよ。
少しイメージはズレるかもしれませんが、「宝石商リチャード氏の謎鑑定」と話の流れは似ているかな?
主人公エリヤは完璧な宝石商
宝石商のメイドは、主人がいつも留守の宝石店、「ローシュタイン」を一人で切り盛りしているメイドさんのお話です。
宝石店にやってくるいろいろと問題を抱えた方々の悩みを、宝石の特徴を交えつつ、解決していく。
殺人事件が起こるとか、大怪盗が現れるとか、そういう大活劇はありません。
日常のちょっとした悩み。母と娘のすれ違い。美大生の苦悩。女優の涙。
そんな心の歪を、メイドのエリヤが宝石を通して癒していく話です。
だから、どのページもゆったりとしたイメージがあって、アフタヌーンティーでも飲みながら読んでいる気分になれます。
とはいえ、エリヤの目は超一流。
宝石に関することも、宝石の仕事に関することも、更には、様々な人の心の内も、彼女は全てを見透かしています。
完璧な応対で、完璧にお客様を満足させるエリヤ。
こんな完璧な宝石屋さんは、まあ、いませんよね。
でも時々「紅茶には目がない女の子」的な描写があって、そこは親近感がわきます。
宝石商のメイドは作者も完璧
物語の登場人物が完璧になるのは、作者の調整1つでなんとかなります。
でもこの漫画、実は作者さんの宝石(宝石の商売)の知識も完璧なんですよね。
多分、宝石についてあまり詳しくない方が、事前の取材や調査で得た知識ではないと思います。
余程宝石が好きな方なのか、もしくは、作者が実際に「宝石商」をしていたのではないかな?
そんな風に思う程、完璧な描写が見受けられるんです。
「宝石は誰が身に着けたかでも付加価値が生まれます」
「少しでも高い買取をご希望でしたら個人取引がお勧めですよ」
(宝石商のメイドより引用)
確かに、取材などでこういった知識は得られると思うのですが、なんとなく言葉の選び方やセリフの出し方が、「経験者」のように見えるんですよね。
上のセリフだけじゃないです。
話の流れ、登場人物の会話の様子、そういったところに完璧だな、という印象を受けます。
作家さんの正体を調べたいな、そんな風に思う一冊です。
現在は2巻まで出版されています
宝石商のメイドは、現在2巻まで出ています。
基本的に一話完結のお話なので、さらっと読めるのも良いですよね。
幻想的な雰囲気と、宝石に関する深い知識。
宝石好きな人なら、是非読んでもらいたい。
宝石商のメイドはそんな漫画です。
「宝石商のメイド」
作者:やませちか
出版社:KADOKAWA