いままでも、時々主張してきたことですが。
私は宝石に特別な力があるとは、微塵も思っていません。
スピリチュアルな世界を否定はしませんが、私が「宝石には特別な力がある」と言うことは一切ありません。
鉱物はただの鉱物です。
綺麗に磨こうが、道に転がっていようが、身に着けていようが、石にすぎない。
石の力で、幸せなんてやって来ないし、人生がすることもないし、病気が治るようなこともない。
ダイヤを身に着けても、ルビーを身に着けても、あなたの人生は昨日も今日も明日も、大きな変化などおきません。
もし、何かの宝石を手にした(身に着けた)途端に人生が変わった、と感じたのなら、それは偶然「宝石を買うタイミング」と「人生が変わるタイミング」が重なっただけです。
あなたが身に着けた宝石が、その結果をもたらしたわけではない。
あなた自身の日ごろの行いが、今のその結果をもたらしたんです。
何度も言います。何度でも言います。
宝石に、特別な力なんて一切ないです。
これを踏まえて、本日はこの本を紹介したいと思います。
え?
出だしから強めの口調で「宝石の力」否定した割に、このタイトルの本の紹介するの?
いいから、いいから。
ちょっと騙されたと思って読んでみて下さい。
面白い本ですから。
繰り返します。宝石に特別な力はありません。
パワーストーン、誕生石・・・・・・
世の中には、様々な「付加価値」を与えられた石が存在します。
ですが、そのどの宝石も、所詮は美しいだけの石ころです。
エメラルドが視力を回復させる。
アメジストは酒酔いに良い。
こういった話は古代の風習や信仰であって、本当に今、眼病で困っている人に「エメラルドが良いよ」なんて言わないですよね。眼科を進める。
酒に弱い友人に、「ここにはアメジストの置物があるから、今日は夜通しお酒を飲めるね」と誘ったら、おそらくあなたは”友人”を失うでしょう。
誕生石だって、ただの業界の販促活動に過ぎません。
元々誕生石とは、「聖書」に載っている宝石を「現代の宝石業界」が商売に利用したことが始まりです。
誕生石を身に着けたところで、幸せなんてやって来ないです。
ましてや日本では、2023年に誕生石が追加されました。
これを販促目的と言わずに、何と言えば良いのでしょうか?
というか実際に、低迷する業界を奮い起こすため、販促目的で追加されたんですよ。
販促を行う事が悪いことだとは言わないです。
ですが、「誕生石を身に付けたら良い事が起こる」とも絶対に言いません。
宝石に不思議な力があるという話は、文化的な側面としては面白いし、興味もあります。
ですが、その不思議な力とやらを信じる気には到底なれません。
石の意味? 石言葉?
そんなもの、あなたが自由に付けて、勝手に信じれば良いのです。
石の波動? 石の発する力?
あなたが信じたいなら、摩訶不思議な力も存在するのではありませんか? 私は信じていませんが。
これが、私の本心。
本屋を徘徊して見つけた本・「宝石の力が運命を変える」
このように宝石の不思議な力を全面否定する派の私が、今回なぜこの本「宝石の力が運命を変える」を読んだのか?
それは、本屋に平積みされてたからです。
本屋さん大好きな私は、本屋を見ると立ち寄らずには居れません。
そして鉱物・ジュエリーが好きなので、基本的に「雑誌」「理工学」「新書」「占い」コーナーを回って、新しい本が無いか物色しています。
そんないつもの本屋巡りで見つけたのが、今回の「宝石の力が運命を変える」でした。
一目見て、「ああ、また変わった主張をする人が本出したんだなぁ」と思いました。
そう思って、購入しました。
そして読破。
………
……………
…………………
面白い!この本!
タイトル見て(私が勝手に)想像した内容は、見事に裏切られてしまいました。
"小説"「宝石の力が運命を変える」
この本は、完全に小説です。
普通、この手のタイトルの本を読むと、
あなたの誕生日から導き出された運命の石はコレ
みたいなページが巻頭にあって、それを紹介するページが続くでしょう?
でもこの「宝石の力が運命を変える」には、あなたに合う宝石を教えてくれるページはありません。
ほとんどが、「とある宝石と出会って人生が変わった女性」の物語です。
全部で13?くらいの物語が、短編集の小説のように続きます。
話の内容は、
- 人生の悩みを抱えた女性が
- 宝石屋に足を運ぶ
- なぜか店主に人生相談
- 店主にすすめられたルース(ジュエリーに仕立てていない宝石)を気に入る
- その宝石をリングにお仕立て
- 晴れやかな気持ちになって帰っていく
こんな流れです。
実は正直に言うと、水戸黄門並みに同じ流れの小説が13話続いています。
なのにね、これが面白いんですよ。すっきりする。
どの話も、深刻な悩みを抱えた人は出てこないです。
変化のない毎日を変えたい、一歩を踏み出す勇気がない自分に嫌気がさしている。
そんな誰もが抱く不安や不満を抱えた女性が、店主の言葉で少~しだけ前向きになる。
問題は何も解決していないけど、何かに気が付く。
ああ、私が前向きな気持ちになれたのは、〇〇という宝石のおかげだ。
これからもこの宝石と一緒に、一歩ずつ前に進んで行こう。
こうして、女性たちは新しい一歩を踏み出していく………
(完)
宝石商のメイドとか、その手の漫画や小説を読んでいるような気分になれます。
宝石は自己暗示をかけるには素晴らしい素材
とはいえ、この「宝石の力が運命を変える」が平積みされていたのは、小説の棚ではなく占い・パワーストーンの棚。
実用書の1つです。
なので、おそらくどの話も完全なフィクションではないのでしょう。
だから、実用書としてその内容を考えるべきですね。
初めに述べた通り、私は「宝石に不思議な力がある」とは思っていません。
ですが、宝石を持つことで現状を変えることは、可能だと思っています。
だって、宝石自体に力はなくても、宝石を目にしている”あなた”には力がある。
物語に出てくる女性は、皆、宝石の不思議な力で救われたのではありません。
店主との会話によって、救われているんです。
そして、そんな店主にすすめられた宝石を、皆こぞって購入して帰っていく。
そういった意味では、凄いのはこの店主なんですよ。人生相談員としての才能があり、その上、商才――だって、みんなフラッと立ち寄った宝石屋で高価な宝石を購入するんですよ?――もある。
彼女たちは、手元に迎え入れた宝石を見る度に、店主とのやり取りを思い返す。
店主と会話した時に感じた「感情」を思い出す。
宝石を見る度に、店主との会話を思い出し、己の悩みを克服できるよう行動を起こすようになる。
これって、私たちが抱える多種多様な問題を解決する際にも、とても有効な方法だと思います。
例えば、テスト頑張るぞ!という思いを込めて、赤い宝石(別に何色でも良いですが)が付いたリングを身に着ける。
あなたは、手元で輝く指輪を見る度に、「テスト頑張る!」という自分の決意を思い出す。
手は、何をする時でも目に入りやすいので、自分の決意を自分にどんどん刷り込むことになります。
そうして、あなたはいつしか「テスト頑張る」という自己暗示にかかっていく。
自己暗示にかかったあなたは、見事テストに合格するor不合格であったとしても頑張った分だけ知識を得られる。
パワーストーンの本来の使い方って、こういうやり方じゃないのかな?
「宝石の力が運命を変える」は、そんなことを思い起こさせる一冊でした。
「宝石の力が運命を変える」
著者:高野睦子
出版社:あさ出版