ダイヤモンドの基本と言えば、品質評価の4C。
ダイヤモンドを購入しようとする人が、必ず調べる知識ですね。
「ダイヤモンド 4C」とか「ダイヤモンド 選び方」とか、 ネット検索したことはありませんか?
最近のネットは様々な知識があふれているので、検索すれば大抵の事はわかります。
もちろん、4Cの解説だって、山のようにある。
だから、わざわざこのブログで解説する意味がないと思い、今までは何も触れてきませんでした。
でも、今後ダイヤモンドについて何か話題にする場合、この4Cの知識は必要不可欠!
避けて通ることは出来ません!
そこで今回は、宝石鑑定士、中でもダイヤモンドグレーダーとしての職務歴がある宝石商=私が、4Cを解説します!
(ダイヤモンドグレーダーとは、ダイヤモンドの4Cを判定する技術者のことです。以下は「グレーダー」と略しています)
今回なぜこんなにもテンションが高いのかと言うと!!
私の大好きなダイヤモンドについて、語れるからです!!!
………はい。
というわけで、今回はダイヤモンドの4Cについて、解説していきたいと思います。
- ダイヤモンドの4Cとは
- ダイヤモンドの4C:キャラット(カラット)
- ダイヤモンドの4C:カラー
- ダイヤモンドの4C:クラリティ
- ダイヤモンドの4C:カット
- ダイヤモンド購入時に余計な知識は不要です
- 次回は4Cのあまり語られていない雑学を紹介します
ダイヤモンドの4Cとは
4Cとは4つのC、つまり
- キャラット(Carat Weight)
- カラー(Collar Grade)
- クラリティ(Clarity Grade)
- カット(Cut Grade)
これらの頭文字を取ったものです。
ダイヤモンドは、主にこの4つの項目で品質評価をしています。
注意したいのは、ダイヤモンド鑑定(ダイヤモンドグレーディング)で行うことはあくまでも、品質の評価のみです。
値段を決めるわけじゃありません。
だから、鑑定書には決して値段は書いていません。
ちなみに。
鑑定書は、正式名称を「ダイヤモンドグレーディングレポート」と言います。
この記事では正式名称を採用し、以降は省略して「グレーディングレポート」と表記しています。
4Cを作ったのはアメリカの民間会社
4Cは、アメリカの宝石研究機関・GIAが制定しました。
民間会社であるGIAは、世界トップクラスの鑑定・鑑別会社でもあります。
つまり、現在世界中で流通しているダイヤモンドは、民間会社であるGIAが決めた品質評価基準に則って、評価されている、ということです。
さらに、4Cを定めたGIAは、現在でも4Cのチェックを行う鑑定会社でもあります。
だからね、ここだけの話、GIAで一度グレーディングされたダイヤモンドは他の鑑定会社に持ち込まれても、同じ結果を出さざるを得ないですよね。
だって、4CはGIAが作った基準だから、GIAの鑑定結果が最も正しいはずじゃないですか。
キャラットとカットに関しては、ほぼ機械測定なので各社の結果はだいたい揃います。
でも、カラーとクラリティを最終決定するのは、人間です。
カラー=目視で判断
クラリティ=10倍ルーペで判断
大げさに言うと、グレーダーの「感覚」で決定している項目、とも言えます。
機械測定じゃないんです。肉眼なんです。
もちろん鑑定会社では、グレーダーたちが日々同じ結果を出せるように研鑽を積み、社内での「感覚」の統一も図っています。
ただ、それが別の会社、しかも海外の会社となるとねぇ。
正直、私も不服のある結果を見たことがあります。
もちろん、黙ってGIAの結果に従っている訳じゃないですよ。
でも、その、何というか………………ねぇ?
4Cはグレーダーが肉眼で判定する
これは昔々の話ですが。
業界が今よりももっと隆盛だった頃、宝石業者さんは時々、グレーダーを夜遊びに誘うんだそうです。
お酒を飲ませたり、徹夜で麻雀したり。
何が目的かというとね、繊細に出来ているグレーダーの目を疲れさせているんですよ。
業者さんは、ワンランクでも上の結果が出れば、手元のダイヤモンドをより高く売れる。
だから、望むような結果にならなかったダイヤモンドがあれば、グレーダーを疲弊させる。
で、次の日にもう一度ダイヤモンドの鑑定依頼を出すんですよ。
もちろん、一度鑑定したダイヤモンドであることは伏せて。
寝不足で疲れたグレーダーは、結局初めの結果よりもランク上の結果を………
嘘か誠か、一種の都市伝説のような話です。
まあ、もし本当の話だとしても、接待を受けた段階で、グレーダー側も業者が何を言いたいのかは理解してたでしょうね。
だいたい、そんな短期間で同じダイヤモンドが持ち込まれたら、間違いなくバレます。
だって、鑑定会社はダイヤモンドに穴が開くほど、徹底的にチェックしているんですから。
こういうところで、互いの駆け引きがあったのでしょうね。
4Cの余談でした。
ダイヤモンドの4C:キャラット(カラット)
キャラットは、一番わかりやすいですね。
ダイヤモンドの重さのことです。
ctと表記し、小数点第三位まで計測します。
電子天秤で数回測った数値ですので、精度も完璧ですよ。
ダイヤモンドの4C:カラー
カラーは、D~Zまでで評価します。
Dが一番無色に近く、アルファベットが進むほど色が濃くなっていきます。
色のグレーディングは難しいです。
ダイヤモンドを見慣れていない人が見ても、Hカラーくらいまでは無色にしか見えません。
目が慣れてくると、EカラーやFカラーでも色味を感じるんですけどね。
ダイヤモンドの4C:クラリティ
クラリティとは、ダイヤモンドの透明度の評価です。
つまり、内包物や表面の状態を見て、ダイヤモンドがいかに透明であるかをチェックしています。
評価は上から順に、「F→IF→VVS1→VVS2→VS1→VS2→SI1→SI2→I1→I2→I3」の、計11段階に分かれています。
それぞれ、
- F=フローレス
- IF=インターナリーフローレス
- VVS=ベリーベリースライトリー
- VS=ベリースライトリー
- SI=スライトリーインクルーデッド
- I=インクルーデッド
の略語です。
ただし鑑定の現場では、あまりI3の結果を見ることはありません。
結果がわかった段階で、グレーディングレポートの発行を見送る業者さんもいるようです。
「最下位の評価を受けるくらいなら、グレーディングレポートなどない方が売りやすい」、おそらくそういう理由なのでしょうね。
ダイヤモンドの4C:カット
カットは、2段階に分けて評価します。
①
まずは、ポリッシュとシンメトリーを目視で評価し、そしてプロポーションをチェックします。
それぞれ評価は、「Excellent→Verry Good→Good→Fair→Poor」の5段階。
ポリッシュとは、研磨状態のこと。
つまり、表面をいかに美しく研磨出来たかを評価します。
シンメトリーは、対称性という意味があります。
これは、ダイヤモンドの各面(ファセット)の形や位置が正確にであるかを評価します。
プロポーションとは、ダイヤモンドの測定値のことです。
と言っても、単なる実寸の事ではありません。
ダイヤモンドの直径に対する深さの%や、各ファセットの角度などを機械計測で測っています。
②
3つの結果が出たら、次に行うのがカットの最終評価です。
それぞれの結果を踏まえた総合判断を、先ほどと同じ5段階で評価します。
ちなみに。
トリプルエクセレント(3Ex)、という評価を受けるダイヤモンドがあります。
これは、文字通り3つのエクセレントが揃った状態のことを言います。
つまり、ポリッシュ、シンメトリー、そして最終評価の3つがエクセレントだったダイヤモンドのことを指すのです。
ダイヤモンド購入時に余計な知識は不要です
以上、4Cの解説でした。
あまりにも、簡易な説明だと思いましたか?
でも、これだけ知っていれば十分です。
特に、これからダイヤモンドの購入を考えている人は、あまり4Cを調べ過ぎないようにしましょう。
ダイヤモンドの購入を考えている人は、よく4Cについて調べますよね。
高額品の購入だから、間違いがあってはいけない。お店に騙されてはいけない。
だから、事前学習はしっかりしておこう。
その気持ちよくわかります。
でもね、正直これ以上の「知識」を持っても、あなたの目が曇るだけですよ。
良いダイヤモンドを見定める最大のポイントは、字面の知識じゃない。
一番大切なのは、如何にダイヤモンドに目が慣れているかです。
以前、このような記事を書きました。
ジュエリーを選ぶ際に一番大切なのは、目が慣れること。
ダイヤモンドだって同じです。
表面的な知識をいくら増やしても、専門家に太刀打ちは出来ません。
本当に必要なことは、まずは最高ランクのダイヤモンドを見て慣れることです。
私がグレーダーとして4Cを見分けられるようになったのは、実際に現場に入ってからです。
来る日も来る日も何十、何百とダイヤモンドをチェックすることで、ようやくダイヤモンドがわかるようになりました。
その時の経験を振り返ると、重要だったのは知識が2割に対して、経験が8割です。
プロだって、そんなものです。
だから延々と4Cを調べつくしたところで、あなたが出来るようになるのはグレーディングレポートを読むことだけ。
あの紙が読めて喜ぶのは、私のようなダイヤモンドマニアだけですよ。
次回は4Cのあまり語られていない雑学を紹介します
あ。
もしも、あなたが私のようなダイヤモンド好きの人であった場合は、今回の説明程度では満足できませんよね。
4Cに関する、もっとマニアックな知識を知りたいですか?
お任せください。
そういう話なら、何万文字でも書き続けます。
カラーダイヤモンドのグレーディング。
クラリティグレードに関する、表には出ない苦労。
元ダイヤモンドグレーダーだからこそ見える、グレーディングレポートの雑学。
次回は、ダイヤモンド4Cに関する、その辺のサイトであまり説明されていない内容をご紹介したいと思います。
知っておけば誰かに話したくなるネタ話、マニアックな情報を、是非ご堪能下さい。