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【ジュエリー学No.4-2】元ダイヤモンドグレーダーが語るダイヤモンドの4C

前回に引き続き、ダイヤモンド4Cに関する情報をお届けいたします。

 

jewelry-foto.hatenablog.com

  

今回の4C話は、別にダイヤモンドの購入時に役立つ知識ではありません。

どちらかと言えば、「へぇ」と思うような雑学に近いですね。

 

でも、こういったダイヤモンドの雑学って、あまりどこのサイトにも載っていないです。

是非この記事を参照にして、話のネタを作ってください。 

 

 

ダイヤモンドの4C:キャラット(カラット)とガイ

 

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ダイヤモンドの重さの単位、キャラット。

小数点第三位まで表記するキャラットは、取引の現場では絶対に必要な数字でもあります。

なぜなら、キャラットはダイヤモンドの値段を知るための重要な数字だからです。

 

ダイヤモンド取引の場で使用する専門用語に、ガイという言葉があります。

ガイとは、1ctあたりの値段のこと。

 

ダイヤモンドは、ほとんどがガイで取引されます。

小売店のように、ひとつずつ値段が付けられていることは、まずありません。

 

例えば、0.356ctのダイヤモンドの取引の場。

買い手:「このダイヤ、代金はいくら?」
売り手:「ガイ100万で」

まあ、このようなやり取りがあるわけです。

 

100万×0.356ct=35.6万

つまり、このダイヤモンドの値段は35万6千円ということになりますね。

 

このように、ダイヤモンド取引ではキャラット×ガイ=代金という方法で、取引が行われているんです。

 

ダイヤモンドの4C:D~Zカラーとカラーダイヤモンドの違い

 

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4Cでカラーと言った場合は、D~Zで表記される色のことを指しています。

 

ですが、ダイヤモンドにはD~Z以外にも様々な色がありますよね。

ダイヤモンドがどれだけ色数豊富なのかは、この記事でも紹介した通り。

 

jewelry-foto.hatenablog.com

 

オーロラコレクションを見てもわかるように、ダイヤモンドはとても色数が豊富な宝石です。

これらD~Z以外のダイヤモンドのことを、ファンシーカラーダイヤモンドと言います。

 

両者の違いは次の通り。 

 

<D~Z>

  • イエロー系、ブラウン系、グレー系のダイヤモンドのカラー評価。
  • 4Cのカラーと言う場合は、このD~Z範囲の色の事を指す。
  • イエロー系は、Zより濃色になった場合に、ファンシーカラーダイヤモンドの表記法になる。
  • ブラウン系は、Kカラー以上の濃さの場合には「カラーグレード+色表記」(「K(Faint Brown)」など)と表記する。Zカラーを超えたら、ファンシーカラーダイヤモンドの表記法になる。
  •  グレー系は、Kカラー以上の濃さでファンシーカラーダイヤモンドの表記法に変わる。

 

<ファンシーカラーダイヤモンド>

  • D~Z範囲に当てはまらない、全てのカラーのこと。
  • イエロー系、ブラウン系、グレー系以外の色であっても、Gカラーより薄い色は、D,E,Fで色を表記する。(=ファンシーカラーダイヤモンドではない)
  • 数がものすごく、少ない。

(ファンシーカラーダイヤモンドの表記方法は、とても複雑なので割愛しています)


そしてもう一つ、両者には重大な違いがあります。

 

カラーが「ファンシーカラーダイヤモンド」であるダイヤモンドは、カットの最終評価を行いません。

カットグレーディングでは、ポリッシュとシンメトリーだけを評価します。

 

なぜなら、カットの最終評価は、そもそもD~Zまでの色のみを対象としているからです。

 

つまり、ファンシーカラーダイヤモンドに4Cは無いのです。

 

ダイヤモンドの4C:クラリティを決める際は迷う

 

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クラリティとは、11段階に分かれたダイヤモンドの透明度の評価のことです。

 

表面的にはね。

 

実際の評価では、それぞれのグレードは更に細分化しています。

なにしろ、ダイヤモンドの内包物(インクルージョン)は二つと同じものが存在しません。

 

VVS2寄りのVS1もあれば、限りなくVS2に近いVS1もあります。

クラリティグレードは、グレーダーが肉眼で見て判断しているのですが、正直どっちに分類するのが良いか迷う石も沢山あるんです。

むしろ、迷わない石の方が少ないくらいかも。

 

でもご安心ください。

ダイヤモンドに限らず、宝石の鑑定・鑑別はダブルチェックが絶対です。

2人以上の人間が見て結果を出すので、「迷った結果、適当に決めている」なんてことはあり得ません。

 

だからあなたの手元のダイヤモンドも、絶対に2人以上の熟練のグレーダーがチェックし、評価したものなんですよ。

 

クラリティ最大の難関・プロット

 

ペン


クラリティ評価をする際に、もう一つ重要な作業が行われています。

それは、プロットという作業。

プロットとは、ダイヤモンドに含まれているインクルージョンなどを絵に描くことをいいます。

 

もちろん、ダイヤモンドの絵をそのまま描くわけじゃありません。

 

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↑ こんなことは、していませんよ。

 

プロットはダイヤモンドの平面図に描くのですが、描き方にはルールがあって、ペンの色まで指定されています。

そのルールに従い、パパっと描くんです。

 

そんなプロット作業は、基本的に鑑定する全てのダイヤモンドに対して行います

 

ハイグレードのものなら、インクルージョンも少ないので楽です。

でもね、SI2以下のものに関しては、本当に面倒。

嫌になるくらい、いろいろなインクルージョンがあって。

 

インクルージョンの全部を完璧に描くわけじゃないけど、もう本当にね、面倒なんですよ。

 

ダイヤモンドの4C:カット評価はD~Zカラーのラウンドブリリアントカットのみ

 

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カットとは、ポリッシュとシンメトリーの結果に、プロポーションの数値を加え、その上で最終評価を出す項目です。

 

でも実は、カットの最終評価は、限られたダイヤモンドにしか行いません。

  • D~Zのカラー範囲に収まっている
  • ラウンドブリリアントカットである

この両方に当てはまるダイヤモンドにのみ、カットの最終評価を行います。

 

色については、先ほど解説した通り。

ファンシーカラーダイヤモンドは、そもそもカットの最終評価を行いません。 

 

もう一つの条件、ラウンドブリリアントカットというのは、婚約指輪とかでよく見かけるダイヤモンドのことです。

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ラウンドブリリアントカットは、ダイヤモンドが一番キラキラと輝く理想の形を追い求めて生まれたカットです 

そして、プロポーションとカットの最終評価とは、ラウンドブリリアントカットの正確性を評価するものでもあります。

 

だから、ラウンドブリリアントカット以外には、カットの最終評価は存在しないのです。

 

ちなみに、ラウンドブリリアントカット以外のカットは、一括りでファンシーカットと呼ばれています。

つまり色でも形でも、ダイヤモンドで「ファンシー」と付くものは、カットの総合評価は行われません。

 

全てのダイヤモンドに4Cがあるわけじゃない。

この事実は、あまり知られていないんですよね。

 

【ジュエリー学No.4】4Cはダイヤモンドの基礎知識

 

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2回に分けて、4Cというダイヤモンドの基礎知識をご紹介しました。

正直この程度の内容は、ダイヤモンドという高い山に登るための、最低限の知識といえます。

 

でも、ほとんどの人はダイヤモンド山を登りたいのではなく、ダイヤモンド山を眺めて美しいと思いたいんですよね。

 

指輪やペンダントについたダイヤモンドを見て、

「このダイヤモンドの4Cは何だろう?」
「インクルージョンはどのあたりに入っているんだろう?」
なんて思わないでしょ?

そんなダイヤモンド山を遠くから見る人たちに向かって、山の魅力を伝えるのは私のような専門家です。

今回は登山口までのご案内でしたが、少しでもダイヤモンドの魅力が伝わったなら、幸いです。