今回紹介するジュエリー本は、『ブランド・ジュエリー 30の物語』<改訂版>です。
タイトル: 『ブランド・ジュエリー 30の物語』
著者:山口 遼
発行:株式会社東京美術
タイトルの通り、この本はハイブランドの歴史を紹介する本。
つまり、掲載されているジュエリーも、ハイブランドのジュエリーばかり。
勿論、写真も超一流!
表表紙から裏表紙に至るまで、素晴らしいジュエリー写真が溢れています。
<改訂版>は、巻頭のカラーページが追加されたものです。
勿論、ジュエリー写真も追加されてますよ。
飾ることのない本気のジュエリーブランド史
『ブランド・ジュエリー 30の物語』の著者 山口 遼 氏は、50年以上にわたり宝飾業界に携わっている方です。
同氏は、日本を代表するブランド「MIKIMOTO」の常務取締役を務め、退任後は「リオインターナショナル社」を設立。
現在も、宝飾業のコンサルティングや業界人の教育、執筆活動と、宝飾業界を牽引されています。
そんな業界を知り尽くした著者が、世界中の「ハイブランド」ジュエラーの歴史を紹介。
誰もが知るブランドの創業時の様子から、現在に至るまでの沿革まで、生々しく紹介されています。
そう。
生々しく、です。
例えば、
- 〇〇(現在もデパート等に出店している、有名なジュエラーの一つ)は、「いまひとつ、商品での特徴が見えない宝石店であるとも言える。」
- ▽▽(知らない人はいない、あの色で有名なジュエラー)の衰退の原因は二代目が有能ではなかったせいであり、「有能な人が消えると、それだけで衰退し始める」
※「 」内は『ブランド・ジュエリー 30の物語』から引用
などなど、ブランドをただ持ち上げるわけではなく、本気で評論されています。
ハイブランドの現状が分かる
一般にはあまり知られていないようですが、実は、現在も設立当時の家系が経営を続けてるジュエラーなんて、ほとんどないんですよね。
世間一般でハイジュエラーとされている宝石商は、現在そのほとんどがコングロマリットと呼ばれる、巨大な企業体の一部に取り込まれています。
コングロマリットとは、直接関係のない業種同士が合併を繰り返して大きくなり、互いの利益を上げていこうとする複合企業のことです。
有名なところとしては、LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンなどが挙げられます。
LVMHグループには、ファッション、ジュエリー、時計、化粧品、お酒などを扱う数多くのブランドが傘下に入っています。
世界規模で営業するのであれば、こういった巨大企業に入るのは当然なのでしょう。
国内外合わせても、ブランド名=経営者名のハイジュエリーブランドなんて、今はもうほとんどありません(汗
この本の中では、それぞれのブランドが最終的にどこの傘下に入ったかまで、教えてくれます。
あなたが良く知るブランドも、詳しく紹介されているかもしれませんよ。
素晴らしいジュエリー写真
そんな生々しいジュエリー史も勿論一読の価値ありですが、この本もやはり写真が素晴らしい。
紹介されているのが、世界でも一流とされているハイブランドばかりですので、参考資料として掲載されるジュエリーも、当然超一流品ばかりです。
博物館に並んでいるようなジュエリーの写真ですので、まるで美術展を見ているような気分になれます。
当然ジュエリー写真は、カラーで掲載。
普段は絶対見れない博物館や個人が所蔵しているジュエリーの写真は、一つ一つが芸術品ですよね。
ティファニーの「バード・オン・ア・ロック」(有名なイエローダイヤモンド)
ファベルジェの「エッグ」(貴金属製の精巧な細工を施されたイースターエッグ)
MIKIMOTOの「パールブローチ」
他にも、各ブランドの素晴らしいジュエリーを存分に楽しめます。
目も眩むジュエリー写真と目を背けたくなる業界の現実
『ブランド・ジュエリー 30の物語』は、博物館にあるような素晴らしいジュエリー写真が掲載されている本です。
でも、そこに書かれている内容は、飾らない本気のジュエリーブランド史。
ジュエリーのブランドに関する勉強には持って来いの内容です。
というか、ここまではっきりと活字で語ってくれると、気持ちがいい。
老舗だろうと、名の知れたブランドだろうと、素晴らしい部分は素晴らしい、良くない部分は良くない。
タイトルや表紙の上品さとは裏腹に、「本当のジュエリーブランド史」を知ることが出来る本です。
ジュエリーブランドの生の歴史を、どうぞあなたもご堪能下さい。