真珠について、思うことがあったので、淡水真珠を語る前に、語りたいことを語ろうと思います。
今回の内容、
ちょっと偏った思考でしょうか?
それとも共感して頂ける内容でしょうか?
どちらにせよ、この記事を通して真珠を愛する人が増えたらいいな、と思います。
私は「真珠」=「アコヤ真珠」と思う人
真珠
何の断りもなくこのように記載した場合、普通はアコヤ真珠を指します。特に真珠業界の人の場合は、そんな人が多いと思います。多分ね。
ちなみに、他の種類の真珠だと、呼び方が変わります。例えば、南洋真珠は、「南洋」。黒蝶真珠は、「黒蝶」。
アコヤ真珠の場合も、確かに「アコヤ」とも呼びますが、単純に「真珠」という言葉を見聞きしたら、南洋や黒蝶ではなく、アコヤ真珠を思い浮かべることが多いです。
まあ、元々私は仕事でアコヤ真珠をメインに扱うので、余計にその気が強いのですが。
でも世間一般で「真珠」と表現した場合、その言葉が差す範囲が広すぎて、ちょっとびっくりする時があります。
真珠っぽい輝きを持つ物質なら、どんなものであっても「真珠」と呼んでいる人もいますよね。
この辺りの落差が大きくて、ネット記事やネットで販売しているジュエリーのタイトルを見て驚くことも。
「真珠イヤリング」 素材・樹脂パール
真珠じゃないよね、それ。
素材以外のところは、さも本当の真珠を使っているかのような表現で紹介。何なら、アコヤ真珠の産地とかまで紹介しておいて、実際には樹脂パールの商品を売ってる。
で、素材の欄はものすごく字が小さいか、見落としがちな箇所にある。
詐欺、じゃないのかな?これ。
普段、知り合いには、「ネットで商品買うなら、絶対に端から端まで、会社概要とかプライバシーポリシーまでしっかり読んでから購入した方が良い」と助言します。
テレビショッピングの場合も、「一旦録画して、画像を端から端まで嘗め回して見た方が良い」と。
「真珠」と書いてあっても、本当に真珠が売っているとは限らないご時世なのです。
ましてや、それがアコヤ真珠である可能性は、とてもとても低いのです。
真珠ブームに乗っかる?
近年、真珠のブームが来そうだという話をちらほら聞きます。
男性用のパールジュエリーが増えているのも、その一環なのでしょう。
女性の場合は、リモートワークやオンラインでの交流が増えたことで、顔周りのジュエリーの需要が増えたことも、一因となっているのかもしれません。
そんな話になると、「真珠ブームに乗っかって商売しないの?」みたいな話題を聞くことがあります。
今ブームだから真珠が欲しい。そう仰る個人の方には、もちろん真珠を販売しています。
けれど正直なところ、真珠ブームだからと言って、こちらからどんどん販路を広げてあれもこれも商品を作る、ということはしていないです。
真珠って、ハイランクになると何十年と使えます。親から子へ、そして孫に渡せるものなんです。
だから、一度販売すると、その人の子供の世代、孫の世代まで責任もってアフターケアをする。それが宝石商のお仕事です。
これは真珠に限らず、ジュエリー全般に言えることですけれど。
ブームとなったひと時だけ、今だけ付き合う。そんな付き合い方や仕事をすると、買い手も売り手もアフターケアがおろそかになってしまいます。使い捨てじゃあ、真珠が勿体無いですよね。
そうならないためにも、こちらからわざわざブームに「乗る」ことはしないかなぁ、と考えています。
まあ実際には、「真珠ブームが来そうだ!」という、「未だ来ず」状態がここ数年続いているのですけれど。
不景気が常態化しているこの業界、いつまでたっても「ブーム」は「未来」の話なのかもしれませんね。
それでも真珠が大好きです
私は普段、名乗る時は「ダイヤモンドの専門家です」と言っています。
もちろん、ダイヤモンドが大好きです。
でもそれと同じくらいに、真珠も好き。
他のどの宝石とも違う質感。重量感。触れた瞬間冷たくて、でも直ぐに肌の温度になじむ。キラキラするのに柔らかい輝き。
コーデとの合わせ方ひとつで、上品にもゴージャスにもなる。その上普段使っているアイテムが、そのままフォーマルにも使える。
真珠は、万能なジュエリーだと思うのです。
先日の記事で、日本の真珠養殖に危機が訪れていると紹介しました。
どうか、私の心配が杞憂に終わりますように。