この写真は、おそらく二度と 撮れない 撮りたくない一枚です。
なんて事のない、4本の真珠リングが写った写真に見えますよね。
でも実は、かなりドキドキの瞬間なんですよ。
ホワイトワックスと真珠リング
以前、真珠のリングをホワイトワックスで立てることは難しい、というお話をしました。
真珠リングは頭がとても重いので、少量のホワイトワックスだけでは長い時間立てることができません。
真っすぐ立てる場合はバランスもとれるので、比較的安定して立ってくれます。
また真珠が小さい場合も、バランスはとりやすい。
けれど、上の写真の黒蝶真珠やゴールドの真珠のような、大きめの真珠ではそうはいきません。
その上、真珠を真上に配置していなかったり(黒蝶)、リングを傾けている(ゴールド)と、立っている時間も短くなります。
【過去写真No.5】で紹介した真珠リングの場合は、たった1つのリングでの撮影だったので、倒れる前にキャッチできました。
でもこの写真には、倒れやすい真珠リングが2本もあります。
しかも、ゴールド真珠の下には、無邪気に寝そべるもう一本のリング。
どのジュエリーにも、傷を付けるわけにはいきません。
セッティングして、カメラを構えて、シャッターを押す。
そして、真珠リングをキャッチ。
そんなシミュレーションまで行ってから、撮影をしました。
ホワイトワックスで同じように立てても同じように立たない
緊張の中、撮影を始めたら、黒蝶真珠のリングは思いのほか安定して立ってくれました。
ある程度の時間が経過しても、微動だにしません。
これはいけるかも、と思いながら、手前のゴールド真珠リングをセッティング。
………………
…………
………
立たない。
真珠が同じように斜めの位置に来ているのに、黒蝶リングとゴールドでは、安定度合いがまるで違います。
おそらく、微妙なバランスと、リングの形状にもよるのでしょう。
けれど、ゴールド真珠のリングは決して倒す訳にはいきません!
だって下には、もう一つのリングがあるんですから。
結局この時は、全神経をこのゴールド真珠リングに向けて、撮影することになりました。
この写真を撮影した時の様子をこんなにも克明に覚えているのは、それだけ緊張していたからなのでしょうね。
真珠リングが斜めに立っているジュエリー写真は感動する
今までも、何度かホワイトワックスで真珠リングを立ててきました。
その際、真っすぐ立てるよりも、少し斜めにした方が美しく見えるのは確かです。
けれどこれまでの経験から、珠の大きい真珠リングを斜めに立てるのは、とても難しいことがわかっています。
だから、最近は雑誌でもインスタでも、真珠リングが斜めに立っている写真を見ると、つい目が寄せられてしまいます。
やっぱりプロ写真家は凄いなと、感動することもしばしば。
皆さんも、リングが立っている写真を見かけたら、裏方の苦労を少しだけ思い出してあげてください。