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【過去写真No.21】シンプルなジュエリーにも様々な努力や技術が隠れている

真珠 リング

 

こちらの写真は、指輪の位置や角度を考えている最中の写真です。

ホワイトワックスではなく、両面テープでリングを立てていますね。

リングの下にしっかり両面テープが映っています。

 

通常、ホワイトワックスの代用に両面テープを利用しても、リングは立たないことが多いです。

ところがこの指輪は、表面が平らな「平打ち」であり、更には幅も広めに作っています。

そのため、両面テープとリングの接地面が広くなり自立しているんです。

 

このリング、実は作る際には様々な苦労が潜んでいます。

簡単な作りのようにも見えますが、意外と簡単には作れないものなんですよ。

 

単純に見えるデザインの中には見えない苦労が潜んでいる

 

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真珠が二列に並んだだけの、簡単な作りのリング

ところが、このリングを作るためには、結構苦労をしています。

 

  • リングに使用する真珠の選定
  • リング本体を作る職人の技量

 

単純に見えても、そこには色々な努力が潜んでいるのです。

 

厘珠を10ピース揃えるのが大変

 

リングに使用したのは、あこや真珠の厘珠(りんだま)。約3mmのものです。

 

厘珠はそのサイズから養殖するもの一苦労な真珠であり、生産量もそれほど多くはありません。

そのような希少な厘珠を、合計で10ピース使用しています。

 

たった10ピース揃えるくらい、簡単だと思いますよね。

でも実際には、10ピースだけでは到底足りないのです。

 

ジュエリーで真珠を使用する場合、指定された個数だけを用意しても意味がありません。

指定数の何倍もの真珠を用意して、その中から選定するのが一般的です。

 

一見同じ色・大きさに見える真珠。

ところが実際には、どの珠も微妙に色、サイズが違います。

そのため沢山の真珠の中から、ぴったりと合うものを探す作業(珠合わせ)が必要となるのです。

 

特に、今回のリングのように真珠同士を隣接させる場合は、より厳密に色・サイズを揃えなくては美しいジュエリーに仕上がりません。

僅かな色の違いも見逃さず、サイズに至っては1/10mm単位(もしくはそれ以上に細かい単位)で揃える。

 

たった10ピース。

その10ピースのために、とんでもなく沢山の真珠を用意しなくてはいけないのです。

 

リング枠にも高い技術が潜んでいる

 

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苦労してようやく揃えた10ピースの真珠。

あとはこれをリング枠にセットするだけ。

次の問題は、そのリング枠です。

 

こちらのリング枠は、この道五十年を超えるジュエリー加工職人さんの手作りの品です。

この10ピースの真珠にぴったり合う、専用のリング枠。

1ピースずつきっちりと合わせて、真珠の受け皿を作っていただきました。

 

そのため、他の真珠を持ってきても、サイズが合うとは限りません。 

まさに、用意したこの真珠のためだけに作られた、手作りリング枠なんです。

 

一番厄介な点は、横にまっすぐ並べ、尚且つ縦方向にもきっちりと揃えること。

縦横ピッタリそろった、二列の真珠。

わずかでもズレれば、途端に美しさが損なわれます。

 

加工後に、「ジュエリーは単純なものほど難しいよ」と教えていただきました。

ピエロペンダントとはまた違うハイジュエリー

 

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どこにでもありそうに見えるけれど、究極の一点モノ

量産できそうに見えても、量産品とは違う一品

それが、この写真に写っているジュエリーです。

 

先日紹介したピエロペンダントも、素晴らしい出来でした。

細部に至るまで、加工の技術が光っていた。

 

対して今回の写真にあるリングは、おそらく一見するだけでは分かりにくい凄さが詰まっています。

簡単に作れそうに見えるけれど、宝石商だから分かる、裏方の苦労。

 

もちろん、単純なデザインなので、量産しようと思えば簡単にできます。

けれど、そこを妥協せずに細部にまで拘る。

分かりにくくても、手を抜くことなく作る。

 

そんなジュエリーもまた、写真に残しておきたい一品です。