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【刻印の世界No.15】海外製の金製品に打刻されていた謎数字

とても久しぶりな刻印のお話。

 

 

こちらが、今回見つけた刻印です。

680

と書いてあります。

680、です。680。

 

この刻印、どういう意味があると思いますか?

ちなみに、私は初めて見た刻印でした。

 

 

結論:金の純度の刻印

 

結論から言うと、この680という刻印は、金の純度を表す刻印です。

 

こちらは、海外製の金色のチェーンに打刻されていた刻印でした。

日本では金の純度はK〇〇(K18/K10など)と打刻されることが多いですよね。

ですが、海外製の場合、金の純度は千分率で表現されることの方が多いです。

 

たとえば、K18やK10を千分率にすると、750、416となります。

K〇〇は24分率なので、K18の場合、

24:18=1000:x

24x=18×1000

x=18000÷24

x=750

中学数学で出てくる、比例式の計算ですね。

…………あって………いますよね?

 

では、この刻印はK〇〇に変換すると、どうなるのでしょうか?

24:x=1000:680

1000x=680×24

x=16320÷1000

x=16.32

つまり、K16の範囲に入るということですね。

(K16と呼んで良い純度の範囲は、666以上750未満です)

 

実際、この680の金製品に含まれている金の割合は、約68%。

この数字は貴金属の精錬会社に計測してもらいましたので、間違いはないはずです。

つまり680と打刻されていたこの製品、本当に680の金製品だったということですね。

 

K16ってあまり見かけないけれど……

 

 

あなたは、身近なところでK16の製品を見たことがありますか?

正直なところ、K16ってほとんど見かけないと思います。

私も覚えている限りでは、今まで一度も見たことがありません。

 

実は、日本ではジュエリーで使う金はK24、K18、K14、K10がほとんど。

それ以外の純度は、あまり使われていないんです。

だからもしそれ以外の純度の金製品があったら、それはほとんどの場合海外製品です。

 

今回、こちらの製品は初めから海外製と分かっていたので、680という刻印を見た時に、

「もしかしたら、貴金属純度の刻印かもしれない……」

とあたりを付けていました。

ただ、正直なところ、680という数字の刻印はほとんど見かけないので、貴金属純度の刻印であるかどうか、自信がなかった。

 

そこで、いつもお世話になっている精錬会社にお願いをして、純度を測って頂きました。

結果は、先ほど述べた通り。

きちんと、68%程度の金が含まれていました。

 

海外では、純度を偽った刻印も少なくありません。

そんな中、こちらの製品はキチンとした数字が打刻されていた。

そういった意味では、「とても正直な刻印」と言えるのではないでしょうか。

 

K18とK16

ちなみに。

 

金は合金にすることで 様々な色を作り出せる貴金属です。

有名なところでは、ピンクゴールドとかホワイトゴールドとか。

 

それに加えて、純度の違いによっても「金色」具合がかわってきます。

 

今回の製品は、K16。

日本で作られている一般的なK18とは、少し色味が異なっていました。

 

上の写真、右側がK16で、左側がK18です。

左の方が金色が濃いですよね。

 

少し角度を変えて、もう一枚。

微妙な差ですが、ちょっと色味が違う事が分かるでしょうか?

 

もちろん、同じ純度の金でも、混ぜる金属の比率を変えることで色味も変わります。

なので「色味が違う=純度が異なっている」というわけではありません。

でも、K16とK18。二つの異なる純度の金を並べると、金の色の差を感じることができます。

 

金製品。

まだまだ私の知らない色のものが沢山あるのでしょうね。