銀の色味を持つ金属でできたジュエリー、といっても様々な種類があります。
例えば、プラチナやホワイトゴールド。
同じ金属でも純度の違いによる刻印の文字の差があったり、メッキを表す刻印が入っていたり。
あなたの手元のジュエリーには、どんな刻印が彫られているでしょうか?
プラチナに関する刻印たち
上記の写真は、一般的なプラチナの刻印です。
リングの内側に彫られていますね。
真ん中の「0」がポイントです。
文字の一部がちょっと欠けているところに、打刻の具合が見えてイイですね。
完璧なのも素晴らしいですが、不十分なところにも美を感じる(笑)
では、プラチナの刻印の詳細を、紐解いてみましょう。
「Pt」とは「platinum」の略語。
Ptの後ろについている数字は、プラチナの純度を千分率(1/1000)で表したものです。
このリングであれば、900‰(パーミル)=90%がプラチナという金属で出来ている、という意味になります。
プラチナリングの刻印には、この他にも、
- Pt999
- Pt950
- Pt850
- Pt
- Pm
- PM
等があります。
Pmって何?
Pm(PM)とは、プラチナの古い表記方法です。
上の写真はチェーンの刻印です。
平たい部分にPm850が見えます。
このようにプラチナの純度まで記載されている場合もあれば、単にPmとだけ記載されている場合もあります。
古い商品が多いので、Pt表記のプラチナよりも純度が低いことが多いですね。
先代から受け継いだジュエリー、形見の品などに見られる刻印です。
Pt1000ってないの?
現在、Ptの最高純度を示す刻印は、「Pt999」です。
最高純度は、Pt1000ではありません。
あと0.1%でPt1000になるのにね。
業界のルールでは、Pt1000の表記は適正ではないとされています。
純粋なプラチナはジュエリー加工に適さず、必ずと言っていい程、合金にします。
更に言うと、化学的に見て、本当の意味で純粋なプラチナは理論上存在しません。
だから、Pt1000と表記されているプラチナにも、実際にはごくわずかに不純物が混ざっているんですよね。
でも実は、「Pt1000」と刻印されたジュエリーはあります。
例えば、この写真の商品は私の指輪ですが、刻印はPt1000です。
貴金属の表記で、「Pt1000は良くない」と決められたのは、何十年も前の話ではありません。
社団法人日本ジュエリー協会(JJA)が発行している、平成20年改訂版の「ジュエリー及び貴金属製品の素材等の表示規定」によると、
ジュエリー用貴金属の不純物を含まないという意味の1000表示は、慣例的に用いられているが、ISOやJIS基準及び化学的には適正な表示ではない。
とあります。
そして平成29年の改訂版では、
貴金属には1000表示は、用いてはならない。
とより禁止に近い文言に改訂されています。
(参考:社団法人日本ジュエリー協会)
ですが、ジュエリーはちょっとやそっとで腐る商品ではないので、10年20年は新品として活躍します。
そんなわけで今でもPt1000の刻印が入ったジュエリーは販売されていますし、探せば結構見つかります。
プラチナの刻印たち
Pt950の刻印
この写真のように鮮明だといいですが、たまに950の「5」がつぶれて「0」に見えることがあります。
「Pt950なのか、Pt900なのか…………う~ん? どっち?」ってなります。
結構困ります。
これは、Pt900の刻印が指輪の内側の、より目立たない場所に刻印されている指輪です。
指輪の内側なので、着用したら100%見えません。
なのに更に目立ちにくい場所に打刻。
この心意気が好きです。
でも、くぼみ部分は指輪の汚れが溜まりやすい箇所。
長年使用していると、刻印が埋まっちゃったり…………
するとまた、「これは何と刻印されているのだろう」と首をひねることになります。
結構困ります。
ホワイトゴールドに関する刻印たち
ホワイトゴールドとは、合金にすることによって、(金色である)金を銀色に変えた金属のことです。
上の刻印は、母から譲り受けた古い指輪の刻印です。
古いリングなので、少し刻印が読みにくくなっていますね。
ホワイトゴールドにも、いろいろな刻印があります。
ホワイトゴールドの略語「WG」が記載されている場合が多いです。
省略されて、単に金の純度だけが記載される場合もあります。
ホワイトゴールドの刻印には、
- K18WG(WG K18)
- K14WG(WG K14)
- WG
- WG 750
などなど、これもいろいろなパターンがあります。
Kは金の純度を表す
K18やK14は、金の純度を表しています。
24金を純金としているので、K18の場合は18/24が金、K14の場合は14/24が金であるという意味ですね。
欧米では金にも千分率を用いるので、K18は750、K14は585、となります。
(千分率表記では「K」は付きません)
ただし日本国内では750以外の刻印は、あまり目にすることはありません。
ちなみに、金の場合も1000は用いません。
理由は、プラチナと同じです。
ホワイトゴールドの刻印
この刻印は、今回紹介する中では唯一、掘り下げていないタイプの刻印です。
浮き上がる形で、K14WGと表記されています。
最近の商品では少なくなってきましたが、古いジュエリーによく見るタイプの刻印。
プラチナだと、「Pm」でこのタイプの刻印をよく見ます。
別にどっちの刻印が正しいわけじゃなく、ただの刻印方法が違うだけです。
でもね、この四角内の小さな隙間って、結構汚れがびっちり溜まる。
それこそ刻印を埋めてしまう程に。
全く文字が見えないこともしばしば。
指輪をたくさん使ってもらう程、ジュエリーを愛用してもらう程、埋まってゆく刻印。
宝石商としてはとっても嬉しいことです、本当に。
本当に。
心から、そう思っているんです。
でも。
結構困ります。