これが、今回撮影したジュエリー写真です。
今回は、色のある宝石の撮影です。
選んだ宝石は、タンザナイト。
今回の写真は、カラーストーンの色合い、輝き具合に主眼を置いて撮影しました。
ただし、この写真は中央の白と黒のラインが真っすぐではなかったので、全体を見たときに歪んで見えます。
もっとビシッと真ん中にしたかったなぁ(汗
では、撮影方法について、見ていきましょう。
- 使用した道具は、白と黒の画用紙、鏡、卓上照明
- タンザナイトという宝石の特性は『多色性』
- タンザナイトは青と紫が丁度良い角度を探す
- 【写真No.10】タンザナイト&ダイヤモンドリング 完成
- 撮影商品&使用道具
使用した道具は、白と黒の画用紙、鏡、卓上照明
今回の配置は、このような感じです。
最近白背景が気に入っているのですが、代わり映えがないので黒の画用紙も用意しました。
画用紙は、サイズが大きくて厚みのあるものを選びましょう。撮影がしやすいです。
けれど、あまりサイズが大きすぎると保管に困るので、上の写真にある程度の大きさが丁度いいですよ。
上の写真の白い画用紙は「四つ切」サイズ、黒い画用紙は「A3」サイズのものです。
白は反射板としても使えるので、少し大きなサイズを選びました。
タンザナイトという宝石の特性は『多色性』
今回撮影に選んだジュエリーの真ん中にある青い宝石は、タンザナイトという名前の宝石。
その特性は、以下の通りです。
鉱物名 | ゾイサイト(zoisite) |
---|---|
宝石名 | タンザナイト |
硬度 | 6~7 |
結晶系 | 直方晶系(斜方晶系) |
屈折率 | 1.692-1.700(±0.005) |
特徴 | 強い多色性(三色性)を示す |
まあ、鉱物の専門的な話は置いておいて。
写真撮影の上で重要なのは、「強い多色性を示す」という点です。
多色性って何? というところから、解説していきましょう。
多色性とは「見る角度」によって色が変わること
多色性を簡単に説明すると、1つの宝石が方向によって異なる色を見せることを言います。
例えばタンザナイトの場合は、ある方向から見ると「青」、角度を変えると「紫」、更に別の方向から見ると「薄い青」という三色の色合いを持っています。
例えば上の写真を見てください。
両方とも、同じリングの写真です。
二つの写真は、確かに多少光の当たり具合も異なっていますが、明らかに色が違いますよね。
え? 分かりにくい?
では、こちらの動画をご覧ください。
【美しいものを見る動画】No.1 アンダルサイト/andalusite【ジュエリー・宝石動画】
動画は、私が趣味でUPした宝石動画です。(ほとんどUPしてないですが、良ければチャンネル登録よろしくお願いします(笑))
この宝石はアンダルサイトと言って、こちらも強い多色性を持つ宝石。
しかも、アンダルサイトは見る角度によって、緑と赤という全く異なる色があらわれます。
上の動画では、回転するアンダルサイトが、赤茶色からシックな緑色に移り変わっていますよね。
このように、1つの宝石が見る方向によって異なる色を見せる効果のことを、多色性といいます。
多色性は、変色効果や色むらと勘違いされやすい
専門的な話をしたついでに、多くの人が勘違いしている多色性に似た効果について、見ていきましょう。
一つ目は、「変色効果」。「カラーチェンジ効果」とも言います。
この効果を持つ代表的な宝石は、「アレキサンドライト」という宝石です。
変色効果とは、「光源の種類によって」色が変わる効果のことです。
具体的には、「太陽光・蛍光灯」(白系の光)と「ロウソク・白熱灯」(オレンジ系の光)で違う色に見えます。
角度は関係ありません。
アレキサンドライトの場合は、太陽光の下で「青緑」、白熱灯の下で「赤紫」に見えます。
二つ目は、いわゆる「色むら」です。
言葉の通り、1つの宝石の中で色のムラがある宝石のことで、ただ単に「一つの宝石の中に複数の色が混在している」だけです。
これは「多色性」や「変色効果」といった特性とは全く異なります。
例えば、ブルーサファイアは色むらがよくある宝石の一つです。
正面から見たら全体に青いのに、横から見ると青い部分と透明の部分が層になっている。
そんな色むらは、「見る角度」や「光源の種類」で色が変わっているとは言いません。
「多色性」と「色むら」は、完全に混同している人もいます。
多色性とは、「青だった部分が、角度を変えることによって紫に変化する」こと。
色むらは、「全体が青に見えていたが、角度を変えて良く見ると一部青ではなかった」ということ。
ややこしいですが、全く違うんですよね。
タンザナイトは青と紫の混ざりあう宝石
タンザナイトは、「多色性」が特徴の宝石です。
多色性が強いタンザナイトはその特性を活かして、通常「正面から見たときに、青と紫が混ざり合う絶妙な色合い」が出るように、研磨されます。
今回のタンザナイトも、正面から見たときには「青」と「紫」の中間のような色合いです。
そんな特徴を持つタンザナイトの撮影では、当然「薄い青」の方向から撮影してしまうと折角の美しさも半減してしまいます。
この写真で言う、右側の方向のことです。
一見綺麗だけれど、「タンザナイトの深い色」は表現できていないですよね。
嫌いじゃないけど、今回の撮影の目的からは外れてしまいます。
ではどの方向から撮影するのが良いのか?
それは当然、青と紫が混ざって見える方向です。
タンザナイトは青と紫が丁度良い角度を探す
基本的に、宝石は正面から見たときに、一番美しく見えるように研磨されています。
ただし、「基本的に」です。
モノによっては、別の角度から撮影した方が良い場合もあります。
今回のリングは、正面からの色が一番良かったです。
ところが、写真で撮影すると、肉眼で見たときと色が違って見える。
撮影するとわかりますが、「こんな色じゃない!」という色になることが多々あります。
そんな場合の対処法は、いつもの「数打って当てる」方式です。
少しずつ少しずつ、角度を変えて撮影。
何度も何度も、あらゆる角度から。
途中、休憩するのもおすすめ。
再度撮影を始めたら、意外といい色の場所が見つかったりします。
つまり、
とにかく撮って撮って、撮りまくること!
数打って、お気に入りの一枚を当てましょう。
【写真No.10】タンザナイト&ダイヤモンドリング 完成
というわけで、数打った結果の一枚がこの写真です。
色の深みは出せたと思いますが、やっぱりまだちょっと紫が足りない気がする。
今回は、多色性の強いタンザナイトを選びましたが、カラーストーンジュエリーの撮影には他にも注意点が幾つかあります。
特に重要な注意点は、「色抜け」。つまり、カラーストーンの色が抜けて見える状態のことです。
この色抜けの話題については、またの機会に。
とりあえず、今回は撮影枚数が多かったです。
大体200枚くらい。
まあ、ほとんどの没写真は秒殺で消去しましたが。
ああ、一発で美しく撮影したい(笑)
撮影商品&使用道具
撮影商品
- Pt900 タンザナイト&ダイヤモンド リング
使用道具
- 鏡(卓上鏡&手鏡)
- 卓上照明
- 画用紙 白&黒
お役立ち道具
- 鑑定士の知識